2019年4月11日木曜日

第2108話 桜散れども 桜刺し (その1)

その日の散歩は
文京区・本郷の東京大学キャンパスが出発点。
本郷通りに面した赤門から構内に入った。
赤門は旧加賀藩前田家の御守殿門である。

御守殿門は通常、丹塗りされることから赤門と呼ばれる。
丹は赤や朱色のことだ。
御守殿門は焼失しても再建されない習わしがあり、
日本に現存する赤門はここだけなのだそうだ。

キャンパスを散策したあと、弥生門から外に出た。
目の前は暗闇坂である。
江戸時代は夜になれば、真っ暗闇だったのだろう。
坂を北に上ってゆくと、言問通りにTの字でぶつかる。

こちらは弥生坂。
坂を東に下って不忍通りとの十文字が根津の交差点。
明治の昔に根津遊郭のあった場所だ。
ここを右折して不忍通りを進むと左手に不忍池が見えてくる。

水鳥はほとんど北に帰ってしまい、
ゆりかもめのほかには
キンクロハジロが十数羽残るのみ。
水面(みなも)はカップルや家族連れの遊ぶ、
スワンボートで埋め尽くされている。
池畔の桜に残る花びらも残りわずかだ。

湯島天神下の交差点にやって来た。
この日の朝食は
ライムジュースの炭酸割りとレタスのサンドイッチのみ。
空腹感を感じた。

近辺で気に入りのランチスポットは
カレーの「デリー」と中華の「我流担々麺 竹子」の2軒。
春日通りをはさんで向かい合っている。
さて、どちらにしようかな?
どうせ夕刻には酒場の止まり木に止まる予定の一羽雀。
胃に負担の掛からない、軽いもののほうがよい。
よって「竹子」の中華麺を選択する。

何度も書いているので読者には耳タコならぬ、
目タコができていると思われるが重ねて一筆。
ラーメンは昔ながらの支那そば・中華そばの系統が好きだ。

麺は細麺か中細がよく、スープは鶏ガラがいい。
煮干しなど、魚介の出汁はホンノリならOKだが
あまり主張しすぎるのはイヤ。
魚粉の投入など、もってのほかである。

ここ20年ほど、ラーメン界を席巻するつけ麺も嫌いだ。
わが人生において、つけ麺はたったの2度しか食べていない。
ついでに油そばは1回こっきり。
この手の愛好者にはバカにされるかもしれないネ。

=つづく=