2019年4月26日金曜日

第2119話 背肝もとめて神楽坂 (その4)

「駒安」の背肝を堪能した。
未食の読者に説明すれば、
鶏のレバーと鰻の肝をミックスした感じ。
これで判っていただけるだろうか。
とにかく食味に加えて食感もすばらしい。

相方に野菜の摂取を促すため、
当店のもう一つの名物、キャベジンをお願い。
いわゆるキャベツの浅漬けはきゅうりも混じっている。
地味ながら外せぬ一鉢がコレ。

他店でちょくちょく見掛ける生キャベツがあるでしょ?
味噌やソースに付けて食べるヤツ。
お好きな方には申しわけないが、アレは避けたい。
人は人であって兎じゃないんだから―。

焼き鳥はもうじゅうぶん、河岸を変えることに―。
ここで浮上したのが「三州屋 飯田橋店」である。
ちょうど去年の4月のこと。
神田の名店、「三州屋 駅前店」が突如として廃業。
そのとき今宵の相方、B千チャンがメールをくれた。
実は彼も駅前店の愛好者、ともに嘆いた仲である。

神田が無けりゃ、飯田橋があるサ。
徒歩5分ほどの距離を移動した。
都内に何軒か散在する「三州屋」だが
飯田橋店はその中でも落ち着いた1軒。
もっともこれは夜に限ったハナシで
昼は近隣のOL・リーマンが大挙して押し寄せるハズ。
普段、昼間使いをしない身につき、詳しくは判らない。

当方、黒ラベル大瓶に銀むつ照り焼き。
相方は燗酒とぶり照り焼きだったかな?
神田駅前店を偲びつつ、
亡き店舗とは多少異なる味を楽しみ、雰囲気に浸る。
閉店が比較的早いため、1時間ほどの滞留だった。

締めに軽くもう1杯。
真っ当なバーだと、1杯だけで切り上げるわけにもいかず、
ここはカジュアルな空間がほしい。
ふらふらと神楽坂下方面に舞い戻った。

時間も時間だし、手っ取り早い先刻の「かね子」を再訪。
「あら、お帰りなさい!」—
バーテンダレスの明るい一声に迎えられる。
これが当夜の運の尽き。
われらオッサンのほか、若者主体の店内は大盛り上がり。
コの字カウンターを飛び越えて客同士の叫びが飛び交う。
中にはオーストリア男とブルガリア女のカップルもいたりして
乾杯に次ぐ乾杯の嵐だ。

生ビール、スパークリング、赤ワインと
何杯飲んだか覚えちゃいない。
われに返って乗り込んだメトロは最終の1本手前でした。

=おしまい=

「駒安」
 東京都新宿区神楽坂1-11
 03-3260-3549

「三州屋 飯田橋店」
 東京都新宿区下宮比町1-7
 03-3267-2465

「かね子」
 東京都新宿区神楽坂1-11
 03-5579-8782