2019年4月12日金曜日

第2109話 桜知れども 桜刺し (その2)

名うてのラーメン・イーターでもないのに
ああだこうだと講釈を垂れ流しているが
湯島の「我流担々麺 竹子」は例外的に好きだ。
ただし、ここでは店名にも謳われている担々麺は食べない。
1度いただいて、不満が残ったわけじゃないけれど、
要するに担々麺という物自体があまり好きじゃないんだネ。

当店の気に入りは支那麺。
これがイチ推しである。
過去においてあまたの友人を同伴したが
こぞって絶賛する一杯だ。

支那麺といっても日本の支那そばとはまったくの別物。
鶏ガラ醤油スープに、豚肩ロースの挽き肉と
刻んだ野沢菜を炒めたものがトッピングされ、
麺はかなりの細打ちである。

スープ&トッピングの味付けがまことにけっこうながら
J.C.が愛してやまないのはしなやかな麺。
そしてしなやかな舌ざわりのあとで
噛もうとする、わが歯をいったん押し戻す弾力がイノチだ。

この支那麺に出会って以来、
ほかのメニューに目移りしなくなった。
もっとも生ビールは毎度、
餃子はときどきお願いしてるがネ。

一番搾りの中ジョッキとともに味わい、
いつもと同じ充足感を携えて、なおも散歩のつづき。
上野の広小路に出た。
湯島は文京区だが広小路は台東区。
街の雰囲気がいきなり猥雑になる。
風俗系の店舗も増えてくる。
まっ、アッシには関わりのねェこったがネ。

御徒町を経て鳥越のおかず横丁へ。
一時期、廃れに廃れて外部から訪れる客も減ったが
横丁は少しく活気を取り戻したような感じがした。
もっとも時間も時間だし、人通りは限られる。

味噌や佃煮を商う店舗が
いくつか残存している様子を見ると、何となくうれしい。
今の若者は味噌・佃煮に見向きもしないから
カップルのデートには不向きなエリアなのだろう。

都内随一の大きさ・重さを誇る、
千貫神輿で有名な鳥越神社の境内へ。
以前、柳橋に棲んでいた頃は近いこともあって
ちょくちょく足を踏み入れた場所だ。
じわり懐かしさがこみ上げてきた。

=つづく=

「我流担々麺 竹子 天神下店」
 東京都文京区湯島3-38-11
 03-3831-6862