2019年6月14日金曜日

第2154話 焼いて食えるな ほろほろ鳥は (その3)

文京区・千駄木のトラットリア「NOBI」。
何とかコース料理を回避するために電話で交渉中だ。
応対してくれている女性スタッフにしてみれば
面倒臭い客、この上なかろう。

相手が男性に変わった。
シェフである。
5分ほどの会話でまとまった妥協案は以下の通り。

・ 予約は開店と同時の18時
・ アンティパスティ(前菜)は盛合せ中心
・ プリミのパスタ類は3種までに抑える
・ セコンディの主菜は1種を3皿
・ 白ワインはピエモンテのコルテーゼ種を1本
・ 赤ワインはピエモンテのネッビオーロ種を2本

6人が6人、てんでんばらばらに注文したひにゃ、
厨房はたまったもんじゃないからネ。
主菜は牛・豚・鳥以外の何か変わったモノをと
お願いした結果、ホロホロ鳥に決定した次第なり。

当日、三河島・日暮里界隈を独り徘徊したのち、
夕焼けだんだんを下り、谷中銀座からよみせ通りを経て
店の前に到着したのは17時半過ぎであった。
ドアには =CLOSED= の札が掛けられている。

ここは無条件で目の前の「サクラカフェ」へ。
冷蔵ケースには世界各国のビールが冷えている。
少々、迷った末にフランス産クローネンブルグの小瓶を―。
1664年、アルザスはストラスブールのクロナンブール地区に
誕生したブルワリーによるフランス随一のビールだ。

自分で択べるグラスは
ちょいと気取ってステム(柄)付きにしてみた。
厚手のワイングラスみたいなヤツである。
入口に近い、「NOBI」がよく見えるテーブルに着いた。

手酌でゆるり味わいながら時の流れに身をまかせる。
エッ? またかヨ!
ダイジョビ、ダイジョビ、
テレサ・テンにはご登場願わないから―。

17時55分。
店は開いて外にメニューが掲げられた。
ほとんど同時に、まず半チャンとトレーナーが入店。
その2分後、スナッキーズの娘(?)たちが3人揃って到着。
おう、おう、みなさん、時間にゃ正確だこと。
さすれば、J.C.、
おもむろに残りのビールを飲み干し、あとを追ったのでした。

=つづく=

「サクラカフェ 日暮里」
 東京都文京区千駄木3-43-15 サクラホテル1F
 050-5594-2932