2019年6月18日火曜日

第2156話 焼いて食えるな ホロホロ鳥は (その5)

ワァワァ、ワァワァと、口々に言葉を発しながら
食べ終えたアンティパスティの数々。
仲間の顔を見くらべて健康の大切さを
あらためて思い知るJ.C.であった。
愛だの恋だの、金だの名誉だの権力だのは
みな健康あっての物種に過ぎない。

晩餐は速やかに進んでプリミに突入。
シェフとの約束で3種類に絞る手筈となっている。
ここで5名の仲間たちにメニューの回覧板。
各自1品、これぞというモノを択んでもらい、
そこから3種をJ.C.が決めるということに―。

集めたリクエストはかくの如し。

① ホタルイカのアンチョヴィ パン粉掛け
  (竹炭入りタリオリーニ)
② 伊産トリュフとじゃが芋のクリームソース
  (コルツェッティ)
③ 鴨と九条ねぎ 蕗味噌クリームソース
  (テスタローリ)
④ オマール海老とズッキーニのクロスターチソース
  (タリアテッレ)
⑤ そら豆のゴルゴンゾーラソース
  (そら豆のニョッキ)

5人が5人ともバラバラじゃないか!

パスタはすべて自家製の手打ちである。
選抜したのは④と⑤、そしてもう1品は
自分の好みを無断で優先させてもらい、
イノシシのラグーソース(パッパルデッレ)を—。
おのおの2人前づつあるから、
6人で分けると、1人当たり3種合計で1人前となる。

ここで赤ワインの登場。
条件はほどほどの値付けのネッビオーロだったが
何と、バローロがサーヴされた。
有力な造り手ではあるまいけれど、
あえてボトルのチェックなどしない。
ちょっとイヤらしいからネ。

パスタで印象深かったのは
そら豆本体に加え、そら豆のカタチに整えたニュッキ。
豆とニョッキが酷似してちょっと見、区別がつかない。
こりゃ、シェフも考えやしたネ。

そして自分で択んだから言うんじゃないが
イノシシの肉片がゴロゴロ入ったパッパルデッレは
パンチ力があり、バローロと二人三脚で歩き始める。
何だかオマールのタリアテッレがかすんじまったぜ。

=つづく=