2019年12月3日火曜日

第2276話 赤羽に憩いのスポットあり

本日本話のサブタイトルを一目見て
ピンとくるのは都の城北が地盤の呑ン兵衛だろう。
すでに何度も語っているが
北区の酒場街、王子・十条・赤羽一帯は
かつて大日本帝国を支えた大軍都。
兵器・弾薬・軍服と、戦争及び軍隊にまつわる一切が
この地で大量に製造・生産された。

必然的に工場は24時間フル稼働となり、
夜勤明けの労働者はそのまま飲み屋に直行する。
その伝統というか、名残りというか、
北区の、殊に赤羽は朝から飲ませる店に事欠かない。

その日、京浜東北線の電車を降りたのは
朝ではなく昼下がり。
夕刻に始まる飲み会まで四半刻の余裕があった。
改札を東に出て道路向かいの「まるよし」へ。
ところが空席はナシ。
踵を返して「喜多屋」に赴くと、こちらはガラガラ。
なのに何となく入りそびれてしまった。

ネクスト・アイデアは赤羽のランドマーク「いこい」。
そう、憩いのスポット「立ち飲み いこい」である。
久しぶりに五月蝿い店主の顔でも拝むとするか—。
歩み始めたが・・・そうだ、支店に回ってみよう。
五月蝿いのがいないぶん、居心地はこちらが上。
いそいそとまではゆかぬがトコトコと向かった。

「いらっしぇや~い!」-
活きのよいオバちゃん連の声に迎えられ、
当方も気合いを入れ直す。
短時間だから入口そばのカウンターに立った。
オネエさんにスーパードライの大瓶(450円)を通すと、
「まぐろ食べる?」-訊かれたので
「いや、キス天にしとく」-応えた。

グラス片手にあらためて品書きをチェック。
スッと差し出されたキス天(180円)は小ぶりが2尾。
キスやメゴチは小さいほうが好みだ。
大衆酒場には珍しい太刀魚刺身(180円)もお願い。
薄い三切れは皮目が硬いものの、値段のわりにはイケた。
とにかく酒もつまみも安いのが「いこい」の魅力だ。

鯨ベーコン(230円)を追加する。
捕鯨再開なったとはいえ、まだまだ高価なくじベコだ。
この値段で期待は禁物なれど、案の定、質はよくない。
オマケに赤身部分が奥歯にスタックしちまった。
前歯ならともかく、
奥歯じゃ爪楊枝でせせり出すわけにもいくまい。

30分の滞空で1040円を支払い、
何はともあれ、近くのドラッグストアに駆け込み、
デンタルフロスを買い求めたのでした。

「立飲み いこい支店」
 東京都北区赤羽南1-5-7
  03-5939-7609