十数年に渡り、理髪を任せているK子チャン。
彼女は若い頃の一時期、
天丼チェーン「てんや」でバイトしていた。
「賄いは毎日、天丼だったのかい?」
「もちろん、そうですヨ」
「そりゃ、シンドいな。シツッこかったろ?」
「エッ、どうして? 美味しくって楽しみでした」
「ん?・・・」
20年ほど前、「てんや」がチェーン展開を始めた頃。
錦糸町の駅ビルにあった店舗で天丼にトライした。
いや、あまりにヒドくて言葉を失った。
重たい油と貧弱な素材に、もうコリゴリ。
その10年後、神保町店での晩酌セットは
生ビール1杯と天ぷら数点。
改善のあとは見えても
水準のクリアには達していなかった。
それが最近、気まぐれに立ち寄った御徒町店で
20年ぶりの天丼を食し、いささか驚いた。
コロモはサックサク、揚げ油の重さも感じさせない。
天種は海老・キス・イカ・いんげん・かぼちゃ。
味噌汁が付き、540円ときたもんだ。
町場の鮨屋が持ち帰りと回転寿司に駆逐されたごとく、
町天ぷらの未来もキビしい。
もっとも一部の高級店を除くと、すでに淘汰が進んだ。
折も折、浅草在住の酌友から一報あり。
「てんや」がとんかつ屋を手掛け、繁盛しているという。
ところは雷門通り&すし屋通りの角。
前話でふれた仁丹塔がかつてあった場所の目の前である。
さっそく出向いた平日の午前11時。
「とんかつ おりべ」は8割の入りだった。
後客は2階に案内されてゆくが階上の様子は判らない。
食券機でロースかつ定食(790円)を購入。
店名も価格帯も上野の「とんかつ山家 」に似ている。
8分ほどで定食が整った。
ロースかつはチルドポーク麦うらら三元豚を謳うが
国産ではなく、カナダ産らしい。
肉質硬めにして筋切りが不十分、
豚肉本来の香り、旨味にも欠ける。
キャベツは少なめ、大根漬けはおざなり。
わかめ味噌汁は牛めし「松屋」にクリソツ。
総じて「てんや」グループはとんかつより天丼。
その証拠に2軒隣りの「てんや」のほうが
ずっと繁盛している。
「おりべ」の客単価が高い ことを
差し引いても勝敗は明らかでありました。
「とんかつ おりべ」
東京都台東区浅草1-9-1
03-5830-0251
彼女は若い頃の一時期、
天丼チェーン「てんや」でバイトしていた。
「賄いは毎日、天丼だったのかい?」
「もちろん、そうですヨ」
「そりゃ、シンドいな。シツッこかったろ?」
「エッ、どうして? 美味しくって楽しみでした」
「ん?・・・」
20年ほど前、「てんや」がチェーン展開を始めた頃。
錦糸町の駅ビルにあった店舗で天丼にトライした。
いや、あまりにヒドくて言葉を失った。
重たい油と貧弱な素材に、もうコリゴリ。
その10年後、神保町店での晩酌セットは
生ビール1杯と天ぷら数点。
改善のあとは見えても
水準のクリアには達していなかった。
それが最近、気まぐれに立ち寄った御徒町店で
20年ぶりの天丼を食し、いささか驚いた。
コロモはサックサク、揚げ油の重さも感じさせない。
天種は海老・キス・イカ・いんげん・かぼちゃ。
味噌汁が付き、540円ときたもんだ。
町場の鮨屋が持ち帰りと回転寿司に駆逐されたごとく、
町天ぷらの未来もキビしい。
もっとも一部の高級店を除くと、すでに淘汰が進んだ。
折も折、浅草在住の酌友から一報あり。
「てんや」がとんかつ屋を手掛け、繁盛しているという。
ところは雷門通り&すし屋通りの角。
前話でふれた仁丹塔がかつてあった場所の目の前である。
さっそく出向いた平日の午前11時。
「とんかつ おりべ」は8割の入りだった。
後客は2階に案内されてゆくが階上の様子は判らない。
食券機でロースかつ定食(790円)を購入。
店名も価格帯も上野の「とんかつ山家 」に似ている。
8分ほどで定食が整った。
ロースかつはチルドポーク麦うらら三元豚を謳うが
国産ではなく、カナダ産らしい。
肉質硬めにして筋切りが不十分、
豚肉本来の香り、旨味にも欠ける。
キャベツは少なめ、大根漬けはおざなり。
わかめ味噌汁は牛めし「松屋」にクリソツ。
総じて「てんや」グループはとんかつより天丼。
その証拠に2軒隣りの「てんや」のほうが
ずっと繁盛している。
「おりべ」の客単価が高い ことを
差し引いても勝敗は明らかでありました。
「とんかつ おりべ」
東京都台東区浅草1-9-1
03-5830-0251