2020年1月6日月曜日

第2300話 しば柴 又また (その1)

いやはや、物事ってのは重なるもんですな。
手の掛かるオッサンを連行したばかりの葛飾・柴又に
またもや、赴く破目に陥った。

先日、28年ぶりに再会した相手から
リクエストが舞い込む。
何とまあ、柴又に連れてけとのたまうじゃないか―。
東京に疎いもんだから
いろんなところに行ってみたいんだと―。

「別に柴又でなくても東京にゃ、
 ほかに面白いとこ、いくらでもあるヨ」
「だって、東京っていえば、まず柴又でしょ?」
「ハァ~ッ?! そりゃ寅さん映画の観すぎだわ」
「『男はつらいよ』は観たことない!」
「じゃ何だって柴又知ってんの?」
「最近、予告編を何回も観た」

だめだこりゃ!
こうして2週連続の柴又めぐりと相成りました。
まったくもって、男はつらいヨ。

この日も寅さん像の下で待合せた。
参道を往復して落ち着いたのは「高木屋老舗(ろうほ)」。
もちろん、柴又散策の予習をしてきた相方の選択だ。
このあと「寅さん記念館」に案内せよという指令もあった。

タハッ、草だんごも記念館も前週避けたばかりなのに―。
昼めしをまだ食ってないし、
「高木屋」にはビールとおでんがあったハズ、まっ、いいか。
何たって映画で「とらや」(シリーズ終盤は「くるまや」)の
モデルとなった店だからネ。

ちなみに同じ参道に店を構える「とらや」はニセモノ。
この店がいきなり「とらや」を名乗り出したもんだから
映画のほうが名称変更を余儀なくされたのだ。
ホントにあくどいやっちゃ!

明治元年創業の「高木屋」は
老舗のわりに素っ気ない食券制。
ビール大瓶(650円)お団子セット(600円)おでん(650円)
以上3枚を購入した

ビールのグラスを合わせ、まずは団子から―。
セットの内容は、焼き(みたらし)、磯おとめ(きざみ海苔)、
草団子(あんこ)の3本でビールに合わないことはない。
コンビニで売ってるヤマザキの団子なんかよりずっと美味い。
ん? 比べるなっ! ってか? そりゃそうッスな。

6品盛合せのおでんは
はんぺん・ちくわ・さつま揚げ・がんも・こんにゃく・玉子。
ふと心づいたのはおでんをしばらく食べてないこと。
令和元年、最初で最後のおでんは帝釈天のご利益かもネ。

=つづく=