2022年12月29日木曜日

第3177話 ストラスブールの もみの木リキュール

人柄の好いご夫婦に出逢えてシアワセな気分。
蔵前橋通りを左折し、三ツ目通り。
さっきのうなぎ屋サン「川勇」の店先で
(年が明けたら来るからネ)
つぶやきながら北に向かった。
やって来たのは本所吾妻橋だ。

この街に来たら必ず立ち寄るのが
角打ち「明治屋酒店」。
こちらは明治十六年創業。
「三河屋」、「尾張屋」より
さらに長い歴史を刻んでいる。

レギュラー缶を2つ飲んできたので
大瓶はやめ、中ジョッキにした。
そうしておいて
アルザス リキュール・ド・サパンを所望した。
水割り、ソーダ割りを問われ、ストレートでお願い。
アルコール度数は30度、電気ブランと同じだ、

珍しいことに原料がもみの木(fir tree)の新芽。
薄い緑色はもみの木由来だろうが
着色料も一役買っていそうだ。

J.C.がアルザスの最大都市、
ストラスブールを訪れたのは1974年。
ブザンソンから入ってルクセンブルクへ抜けた、
街の中心部はイル川の中洲。
流水に恵まれて
コロンバージュ(木骨造り)の家並みが可愛い。

仏独による係争の歴史に翻弄され続けてきた土地は
フランス領でありながらドイツ色を強く感じた。
もっぱらビールと白ワインばかり飲んでいて
サパンの存在には気づかなかった。

生ビールをチェイサーにサパンを味わう。
これがもみの木の風味なのだろうか?
あの葉っぱを噛んだことがないので判らない。
今度どこぞで見かけたら、ぜひかじってみよう。

口当たりの第一感はトロ~リとした糖分。
昔からデザートを取らない代わり、
リキュールを好んで飲み続けてきたが
トロ~リ感でサパンの右に出るものはなかった。

産地はストラスブールの南30kmにあるコルマール。
造り手は1874年創業のヴォルフベルジェール社。
グルメ向けの酒造りがモットーの由。
1874年ということは明治七年。
「明治屋」よりさらに古い。
この年の瀬にきて
温故知新の日々が続いております。

「明治屋酒店」
 東京都墨田区吾妻橋3-7-12
 03-3622-1592