2023年6月20日火曜日

第3300話 鶴と初デート (その2)

「新宿中村屋」のB2「manna」。
相方の鶴チャンが即断したのは
ビーフシチュー&オムライスのコンビ。
こちらもおっとり構えちゃいられない。
優柔不断なオトコと思われたくないしネ。

そちらがそう来たら
こちらは王道のカレーでいくかー。
純インド式カレー(骨付きチキン)と
シーフードのハーフ&ハーフをー。

セットでのお願いはオードブル付き。
ドリンクも付いて生ビールの小グラスを選択。
これがキリンで苦いのなんのっ!
傍らのドライで洗い流す。

前菜は4種類が少しづつ。
にしんマリネ・カプレーゼ・棒棒鶏・
カリフラワー&ブロッコリのサラダ。
それぞれにしっかりと作られ、
おざなりなモノは一つもない。

カレーには薬味が6種も。
花らっきょ・ピクルス・粉チーズに
オニオン・マンゴー・レモンと
チャツネが3種。

こりゃやり過ぎだわ。
らっきょ・ピクルス・マンゴーチャツネで
モア・ザン・イナッフ。
策士、策に溺れて溺死寸前の様相を呈していた。

肝心のカレーも何だかなァ。
ハーフづつのため、味覚のバラけにつながったか
以前のほうが好かった気がする。
吟味しつくしたライスも
一般的なインディカ米でじゅうぶんなのにー。

相方のシチューがなかなか。
オムライスはオムレツのっけタイプ。
ケチャップ不使用のバターライスだった。

ビールの味を教えたおかげで
だいぶ飲めるようになったが
まだまだのみともの役目は荷が重い。
しばらくの間、
月に一度のたべともでいてもらおう。

いつもお世話になっているからと
プレゼントをいただいた。
木綿のハンカチーフである。
鶴の恩返しに応えて
旅立つとするかな?
東へと向かう列車でー。

「新宿中村屋 manna」
 東京都新宿区新宿3-26-13
 新宿中村屋ビルB2F 
 03-5362-7501

2023年6月19日月曜日

第3299話 鶴と初デート (その1)

読者は覚えておらりょうか?
あれは去年の11月。
錦糸町の行きつけ、
「vivo daily stand」の止まり木に
舞い降りた一羽の白鶴をー。

それからしばらく、再び錦糸町でバッタリ。
以来、何度か喫茶店でビールを飲む仲にー。
母上の介護のため、
なかなか家を空けられない彼女。
いつも2時間ほど談笑するばかりだった。

それが此度ランチの機会に恵まれた。 
鶴と初デートである。
「銀座辺りでいかが?」ー気遣ってこう向けると
「新宿がいいわ」 ー意想外の応えが返って来た。
「エッ、新宿?」  

銀座と新宿、女性に選択を委ねたら
十中八九、いや十人が十人銀座であろう。
珍しいな、鶴は天然記念物だったのか?
いずれにせよ、彼女は慶応ではなく、
早稲田派だったのだ。

いいでしょう、いいでしょう、
お供いたしましょう。
いつものジャーマン・パブってワケにもいかんし、
それなりの店を択ばにゃならん。

「中村屋でどうだろう?」
「けっこうネ」  
お眼鏡にかなった様子だ。
地下2階のレストラン「manna」に
予約の電話を入れたら予約不可。
それほどお待たせしないとのことで現地集合。

「中村屋」は十数年ぶりである。
改装後はは初めてである。
新宿通りから地下に降りると
店頭に順番を待つ、
客用の椅子がホールの四辺にずら~り。
並んでいるのは6名ほど。
先着していた彼女の隣りに腰をすべらせた。

電話の応対通りに
10分と待たずにご案内。
さすがに「新宿中村屋」、客あしらいが丁寧だ。
二人掛けに通されてドライのグラスを合わせていたら
四人掛けが空いて、そちらに移動を促された。

メニューは実に多彩。
カレーを中心とした洋食が主体ながら
中華モノも豊富に揃う。
「これはジックリ慎重に択ばないとネ」
「私もう決めちゃった」
「ハァ!?」

=つづく=

2023年6月16日金曜日

第3298話 麻布の海南鶏飯(その2)

J.C.がシンガポールに暮らしたのは
1983年4月から’87年2月。
その間、幾度ハイナネーズ・チキンライスを
食したことだろう。

そう、中国のたまり醤油を用いる、
ダークソースのことであった。
赴任中はほぼずっと、
このソースをダックソースと信じて疑わなかった。

何だってまたチキンのソースが
ダック(アヒル)なんだヨと、
不思議でならなかった。
これがダークと知ったのはNYに移る寸前のこと。

何でこうなるの?
すべてはシングリッシュの成せる業であった
彼らの発音は音楽用語でいう、
スタッカートが強烈過ぎる。

例えば、He told me.
これが連中にかかると、
ヒッ トッ ニッ と来たもんだ。
ダークがダックと聞こえるのも致し方なし。
てなワケでした。

あっさりとしていながら
旨みじゅうぶんのチキンスープが
胃の腑に染み渡る。

しっとりと柔らかく蒸された鶏ムネ肉を
まずジンジャーソースでー。
うん、いいねェ、旨いなァ。

最近は都内のシンガポール・レストランで
盛んに揚げバージョンを見受けるが
昔はあんなの無かった。
言わせて貰えば邪道の極みで
揚げチキはケンタに任せとけっての!

隣りに初老の夫婦が着卓。
見るからに近隣の裕福な人たちだ。
ご婦人が殿方に
「うわァ、何でビールがこんなに高いの?」
ドキッとしたJ.C.、2本目をガマンする。

それにしてもこの暗い店内で
細かい字を読めたもんだな。
年恰好はJ.C.とあまり変わらんぜ。

接客女性が勧めるライスのお替わりを辞退し、
美味しく食べ終えてのお勘定は1990円也。
鶏飯1000円に対して小瓶が990円だとサ。
こりゃあ、高いや。
隣りのご婦人には
もっと早く言ってほしかった。

「海南鶏飯食堂 麻布本店」
 東京都港区六本木6-11-16
 03-5474-3200

2023年6月15日木曜日

第3297話 麻布の海南鶏飯(その1)

上野御徒町から都営大江戸線を
グルッと回って麻布十番。
20年ほど前に大江戸線とメトロ南北線が
相次いで開通する前は陸の孤島と揶揄されていた。
今でも六本木の谷底のままだが
J.C.はこの街が好き、六本木よりずっと。

目抜き通りをほぼ抜けて
地番が麻布から六本木に代わる。
此処に古くからある「海南鶏飯食堂」へ。
地下鉄の開通当初だったから
20年ぶりくらいになる。

清々しいテラス席はカップル専用。
単身客やグループは薄暗い店内へ、
着卓してメニューを手に取ると、
暗くて文字が読めないヨ。

メニューを手に立ち上がったら接客の女性。
「どうかなさいましたか?」
「いや、暗すぎて見えないんだ」
「アッ、どうもすみません」
「いいの、いいの、最近目がかすむんだ」
「大変ですネ」

テラスの順番待ち用椅子に腰掛け、
シンガポールの国民食、
海南鶏飯(ハイナンジーファン)にする。
メニューをチェックするまでもなかったが
一応、ココナッツチキン・カレーと迷ったんだ。

でも、ここのところカレー続きだったもんで
「黙って読んでりゃ調子に乗りやがって
 いい加減にせい!」ー
そんな読者の声が聞こえて取りやめ。

ビールは生がキリン、瓶はタイガー。
懐かしのタイガーの小瓶を。
シンガポールの二大ビールメーカー、
タイガーはよく見るが
アンカーに出逢うことはまずない。
それが不思議。
42
東南アジア諸国のビールはいずれも
口当たりさわやかにしてノド越しもスッキリ。
あんな暑い所で重たいタイプは飲めやしないヨ。
久しぶりに飲むタイガーは快適だった。

運ばれたプレートはハッとするほどに美しい。
炒飯のように丸いカタチのインディカ米。
その脇にはこんもりと香菜(パクチー)。

そして3種のソースは
オレンジ色のチリ、
オフ・ホワイトのジンジャー、
チョコレート色のダーク。
絵の具のパレットのように色鮮やか。
このダークソースには思い出が深いのだ。

=つづく=

2023年6月14日水曜日

第3296話 インドカレーはカレーの大御所

ここしばらくカレーを食べ続けている。
スリランカ、べトナム、タイと
それこそ浴びるようにー。
さすればそろそろ大御所、
インドカレーに登場してもらおう。

J.C.が東京で一番好きなのは
文京区・湯島の「デリー」。
インド&パキスタンを謳ってはいるがネ。
しかしながら当欄で何度も取り上げているため、
此度は千代田区・旧連雀町の「トプカ」にしてみた。
雨降りの一日でもあることだし・・・。

5年ぶりにやって来た。
印度と欧州の両刀使いは入口で前払い。
メニューが多いうえに盛合わせも豊富だから
慣れない客は相当にまごつく。
ここは一考あられたし。
客の利便を一顧だにしてないヨ。

サッポロ赤星大瓶(750円)と
盛合わせD(1650円)を購入)。
Dの内容はインドポークカレーと
バターチキンである。
すべてのカレーにかき玉コンソメが付く。

インドポークは当店最辛で5年前には
コイツのフルポーションを頼んでしまい四苦八苦。
ヒーハー、ヒーハーと完食に往生したっけ。
何せ、砕いた赤唐辛子が鬼のように入ってるんだ。

一方のバターチキンはマイルドなんだが
そのぶんパンチ力に欠ける。
福神漬け&ラッキョウの助けを借りながら食べ進む。
ラッキョウがデカくてカジリ音が
ポリポリじゃなくバリバリだ。

インドポークのの辛さに耐え、
バターチキンにもの足りなさを感じつつ食了。
食後感は・・・何だかなァ。
ジャポニカ米が力不足だし、
カレーそのものも以前の方が好かったような。

それに純粋なインド料理に
ポークとビーフは用いられない。
どうやら店の選択を間違えたようだ。
割高感も否めないしネ。

最近のカレー行脚を振り返ると、
本郷三丁目のタイレストラン、
「ガパオ専門店」が断トツの1位。
あのゲーン・キョウワン(グリーンカレー)は
お世辞抜きにすばらしい。

やはりカレーは神田より本郷。
日大と東大ほどの差があった。
いえ、日大もいいんだけどネ。
真理子も頑張ってることだし・・・。

「トプカ」
 東京都千代田区神田須田町1-11
 03-3255-0707

2023年6月13日火曜日

第3295話  奈良漬に つい誘われて

そうこうするうち、時刻は14時に近づいた。
ルミエール商店街から裏道の「しげきん」へ。
父親と娘の切盛りに早くも先客が1名。

ドライの中ジョッキを2杯即注したいところだが
渇きを訴えているようで
みっともないから思いとどまる。
それでも1杯目の着卓と同時に
お替わりを通していた。

毎度のことながら生き返りやした。
品書きボードを見上げ、スズキ昆布〆をお願い。
”鈴木クン”は死後硬直が完全に解け、
弾力が失われているものの悪くはない。

先刻のミートソースのスパゲッティが
少なめだったせいもあり、まだ何かいけそうだ。
3杯目とともにかき揚げを所望。 
ほお~、包丁を握る父親ではなく、
お運び兼洗い場担当の娘が種を揚げ油に落とした。

だいじょうぶかな?  心配無用であった。
きちんと揚がって出て来た。
ほとんど玉ねぎ、あとにんじん。
厚みはなくともかなりのサイズ。
バカでかいというより、
だだっ広いというのが当たっている。

パートだろうか?
オバちゃんが二人出勤して来た。
いや、一人は店主の妻にして
娘の母かもしれないな。

かき揚げを食べ終える頃、
娘がにっこり笑って
「よろしかったらどうぞ!」ー
差し出した小皿には奈良漬が2切れ。
「おう、これはありがたいネ」
奈良漬は好きなんだ。

生ビール3杯で切り上げるつもりが
奈良漬につい誘われた。
「冷酒の銘柄は何かな?」
娘、振り向いて応える。
「日本盛ですが・・・」
「じゃ、奥の方でよく冷えてるヤツ1本」
「はァい、判りましたァ」

おっ、ずいぶん辛口だな。
300mlのボトルを確かめたら
しっかり”辛口”と明記されておった。
合いの手が甘い奈良漬だから余計に辛く感じる。

「やっぱりお酒、お好きなんですネ」
「いや、そうでもないけど、
 奈良漬につい誘われちゃったヨ」
「アハッ!」
「商売が上手だこと」
「アハハハ!」

どこまでも平和な新小岩の昼下がり。
店のそばには平和橋通りが走っております。

「しげきん」
 東京都葛飾区新小岩1-30-8
 03-5662-8536

2023年6月12日月曜日

第3294話 赤茄子と書いて とまとと読ませる

おのれの気まぐれには困ってしまう。
この日もそうだった。
家をわりと早く出たため、
予定はメトロ千代田線で金町に行き、
そこから一駅歩いて柴又を目指すというもの。

実際に綾瀬ー亀有ー金町ー松戸間は
千代田線ではなくJR常磐線の各駅扱いだがネ。
詳細は省くけれど、この間は運賃が割高となり、
利用者による訴訟問題にまで発展している。

それはそれとして
千駄木から乗った電車は綾瀬どまりだった。
綾瀬のプラットフォームで
後続の我孫子(あびこ)行きを待っているとき、
またもや気まぐれ心につまづいた。

柴又やめて新小岩にしよう。
綾瀬の改札を抜け、新小岩行きのバスに乗った。
目当ての立ち飲み酒場「しげきん」は14時開店。
まだ13時である。

南口のルミエール商店街を流してゆく。
昨日は京急蒲田のあとす、
今日は新小岩のルミエール。
アーケードの連荘と相成った。

何か軽いものをと物色していて
昭和チックな喫茶店に遭遇。
この商店街で最も古い1軒と思われた。
店名は「赤茄子」なのにロゴは真っ赤なトマト。
初老の店主独りきりの切盛りだ。

ミートソースを通しながら
「ビールはないでしょ?」
「ハイ、ありません」
「それじゃアイス・レモンティーを」

溶き玉子・玉ねぎ・わかめの中華風スープが供された。
妙な感じだが不味くはない。
そのぶんミートソースがちょいと不出来。
出来合いのレトルトみたいで相当緩い。
タバスコは出て来たがパルメザンはナシ。

帰宅後、検索してみたら
赤茄子はトマトと訓じ、店名は「とまと」の由。
ここでJ.C.、ハタと思い当たる。
以前、ホテルの中国レストランで働いたとき、
中国語の料理名を覚えたのだが
確かトマトは中国語で”番茄”。
トマトと茄子は同じ仲間なのだ。

赤茄子をとまとと読ませるからには店主、
中国語の素養があるに違いない。
おそらく喫茶店を開く前に
中華の料理人だったのでは?
どうりでミートソースが
いただけないワケでした。

「赤茄子(とまと)」
 東京都江戸川区松島3-14-8
 03-3651-1007