2012年3月9日金曜日

第269話 あゝ 酔いどれ天使 (その4)

行儀のよいお客さん揃いの「江戸一」では
酒を飲んでも3本どまりを心がけている。
徳利1本に1合は入っちゃいないだろうから
せいぜい2合半がいいところだ。
当夜は普段の倍以上飲んだことになる。
となれば酩酊ぶりもずいぶんだったに相違ない。

相方と論争したわけじゃないから
会話の音声で隣客に迷惑は掛けなかったつもり。
しかし目の前に7本の空瓶を並べた姿はちと恥ずかしい。
お燗番のオネエさんに白い目で見られやしなかったか。
ひょっとすると大女将のひんしゅくを買ったかもしれない。
思い起こすと冷や汗が出てくるな。

何せ、並んだ瓶の数すら認識できずに
翌日、相方に訊いて初めて判明したくらいだもの。
おぼろげな記憶をたどれば
2軒目は焼きとんの「富久晴」に落ちのびていったような・・・。
大塚に来ると「江戸一」&「富久晴」はペアになっていて
どちらか片方だけで帰ると
後ろ髪を引かれる思いに、いささかの悔いを残すことになる。

ほとんど覚えちゃいないが「富久晴」で飲んだのは
キリンラガーにきまっている。
ここではめったに日本酒を飲まないからだ。
これもまた相方に確かめたところ、
焼きとんは2人で5本しか食べていないという。
飲んだくれが深い時間に現れ、
これでは店のオヤジに迷惑を掛けに来たようなモンだ。
いや、懸念すべきはこの店でも”白い目”であろう。
まったくイヤになっちゃう。

滞在時間は約30分。
夜の町に千鳥足で迷い出ながら
それでも相方を銀座のホテルまで送ろうとしたらしい。
大塚駅前から地下鉄丸の内線が通る新大塚まで
酔い覚ましにフラフラと歩いた。
ところが駅をはるかにオーバーラン。
気づかないんだから、こりゃ相当に酔っ払ってたネ。
そいでもって結局は薬局、茗荷谷の手前からタクッたんだと・・・。
何とか送り届けたものの、何やってんだか、ったく!

翌朝。
さぞかしヒドい二日酔いに悩まされるかと思いきや、
これがとんでもハップン、ニジュップン!
快適なお目覚めを迎えまして
胃袋クンが空腹を訴えておりましたとサ。
それもそうだよ、前夜はほとんど食っておらんモン。

そんなこって出掛けて行った築地市場だったのである。
つい先日、当ブログに記した通りに
焼鳥のサービス丼を食ったり、本物の豆苗を購入したり、
元気いっぱい、夢いっぱいときたもんだ。
J.C.オカザワは街のおどけ者、
とぼけ笑顔で今日もゆくのでありました、ハハ。

=おしまい=

「江戸一」
 東京都豊島区南大塚2-45-4
 03-3945-3032

「富久晴」
 東京都豊島区南大塚2-44-6
 03-3941-6794