2012年8月16日木曜日

第383話 北海道のキャラメル (その1)

練馬区在住の友人、Y実と池袋でランチ。
食後のひとときにヤツがとりい出したのは一粒のキャラメルだ。
「JC、これ何味だか判るかな?」―こうのたもうた。
おい、おい、誰に訊いてんだヨ。
甘いモンは分野じゃないが
キャラメルのフレーバーなどタカが知れてるだろうに。
タカをくくって粒をつまみ上げ、口に放り込んだ。

舌の上で転がし始めてすぐに「何じゃこりゃあ!」―
まるで「太陽にほえろ!」の松田優作になった気分。
肉っぽく脂っこい風味に思わず吐き出しそうになった。
気持ちわりぃ、すんごく気持ちわりぃ。

Y実は両肘ついた両手のひらに
小さなアゴを乗っけてニヤニヤしている。
(ほうら、判んないでしょ?)
両マナコが勝ち誇ってやがる。

ケッ、落ちぶれ果ててもJ.C.は武士じゃ、
予期せぬ味にとまどいながらも記憶の糸をたぐって応じた。
「焼肉キャラメルか?」―自信はなかったけどネ。
「うっ、う~ん」 ―あらら、Y実の目が宙をさまよってやがる。
つうことは当たらずとも遠からずってこった。

「しっかし、こりゃ、相当エグいぜ」
「そうかなァ・・・」
「どこで売ってたんだい、こんなん?」
「北海道の物産屋みたいなとこ」
「エッ、北海道? おう、ジンギスカンか!」
「ピンポーン!」―となった次第。

パッケージには本当に書いてあった、
ジンギスカンキャラメルと。
いったい誰が考えるんかね、こういうの。

後日、といっても数日後。
高校同期の連中とビアガーデンに繰り出した。
場所は池袋西武の屋上だ。
16時スタートを13時半に現地入りしたJ.C.は
東&南池袋界隈を徘徊しながら散策。
そこで遭遇したのが北海道物産館だった。

店頭でアイスコーヒーを振る舞われちゃったから
何か買わなきゃ立ち去れない。
すると目の前にあっただヨ、例のジンキャラが!
何やら但し書きまであった。
゛当製品は風味を楽しむためのものなので
  当店は責任を負いません゛
よく覚えちゃいないが、そんな言い草だった。

=つづく=