2014年9月29日月曜日

第935話 西日暮里の止まり木で (その2)

日暮里・舎人ライナー、西日暮里駅のそば
「菊一」のカウンターに独り。
開店まもない様子でほかに客はいない。
巣鴨から歩いてきたから、ノドはカラカラのカラ。
ここは一番、生のジョッキでしょう。

銘柄は”キリン満点生”ときた。
いつの頃からか、この”満点生”を見かけるようになった。
生中としては小さめのジョッキに塩豆が添えられる。
心ある正統派バーではちょくちょく供されるチャームが塩豆だ。
ジョッキの容量は350mlに満たないのではなかろうか。
ほとんど一気に飲み干してお替わりクン。

そうしておいて焼きとん(店ではもつ焼きと呼ぶ)の注文だ。
ここの串はほぼ一律120円、軟骨入りつくねのみ140円。
つくねは店の看板商品であるらしい。
何となればこれだけは
塩・タレ・辛味噌・レモンと四択の食べ方があるからネ。

普段からあまりつくねは食べない。
というよりも焼き鳥屋でポピュラーなつくねながら
焼きとん屋ではまず見掛けない。
焼きとんは”ミニマム週イチ”のペースで食するものの、
焼き鳥は”マックス月イチ”がせいぜいとあっては
そこに絶対的な差が生じてしまう。

初っ端はカシラとハツを塩でー。
この店ではカシラをペテンと称する。
言わずと知れた頭肉だがペテン師扱いもないものだ。
おそらくテッペンを引っ繰り返したネーミングだろう。

歯を押し返すハツの弾力を楽しみながら感じた。
備長炭使用店、「菊一」の”焼き”は深い。
気に入りの金町「ブウちゃん」がミディアムレア仕上げだから
余計に”焼き”の深さが強調され、気になる。
素材の鮮度に自信がないのかな?

お次ぎはシロとレバをタレで―。
タレはかなり濃い、よって、かなりしょっぱい。
しかもタレものになると焼き目はさらに深くなり、
必然、焦げ目もキツくなる。
備長炭がもったいないんだヨなァ。

焼きとんにおいては部位的に
上半身は塩、下半身はタレが合うように思う。
例えば”上”はアブラ・ツラミ・タン・ナンコツ。
”下”はガツ・コブクロ・テッポウ。
これは単なる偶然ではないハズだ。
ないハズではあるけれど、その裏づけが未だに見つからない。

=つづく=