2015年3月30日月曜日

第1065話 五反田でレバカツを (その1)

巷間、レモンサワー発祥の店と伝わる焼きとん屋「ばん」を訪れた。
開業は中目黒だが現在は五反田に移転しており、
ラブホやら風俗やらが密集する東口の一郭にある。
この陋巷を今しばらく進めば、清泉女子大のキャンパスに行き着く。
五反田は清濁併せ呑む土地柄なのだ。

当日はふた月に一度の理髪を渋谷で済ませ、五反田に回った。
相方はのみとも・M鷹サン、久々の再会である。
こちらの都合で五反田に呼び出したカタチになってしまった。

安くて旨いと評判の店につき、けっこうな混雑ぶり。
それでも何とか一番奥のテーブルを確保できた。
ただし、相席のうえにトイレの真ん前だから
小用の客がひっきりなしに出たり入ったりして
せわしないことこのうえない。

生ビールはキリンの一番搾り。
中ジョッキの容量が少なく、あっというまに飲み干してお替わり。
店によって同じ中ジョッキでもサイズはまちまち。
経験上、キリン一番搾りのジョッキが一番小さい。

ここでちょいとハナシが脇道にそれる。
以前にも当ブログでふれたが
東京の街には(日本全国どこも一緒だけれど)
気軽にビールやワインを引っ掛けられる場所がまずない。
ニューヨークのバー、ロンドンのパブ、パリのカフェ、
ローマのバールに匹敵する酒場がまったくないのだ。

散歩大好き、ビール大好きの人間にとってこれはツラい。
酒店の立ち飲み、いわゆる角打ちとて
真っ昼間から開けている店はきわめて少ない。
ほとんどの酒屋が17時以降のオープンなのだ。

ビールを提供する喫茶店はあるものの、
割高の小瓶を何本もお替わりしていたら財布がもたない。
ホテルのバーもまたしかりで、思わぬ散財の憂き目をみることになる。
そこでときどき利用するのが大手外食チェーンだ。
中休みを取らないから使い勝手もよろしい。

東京の街に展開する主なチェーンを列挙してみよう。
牛丼系は「松屋」、「すき家」、「吉野家」、「なか卯」。
和食堂系で「やよい軒」、「大戸屋」。
中華系なら「日高屋」、「ふくしん」といったところだ。

アルコール飲料の販売に関しては店それぞれにポリシーが異なる。
もっとも積極的なのが「日高屋」で
日本酒、酎ハイ、ホッピーと何でもござれ。
食事も飲酒も大歓迎というスタンスだ。
逆に消極派は「吉野家」と「やよい軒」。
どちらも置くのはビールのみ、しかも深夜は提供しない。
しょうがなくビールを売っているのである。

=つづく=