2017年3月15日水曜日

第1579話 鰻屋で鰻食わずに何を食う? (その2)

酢だことたこ酢の違いについて―。
赤く染められた加工品の酢だこは
わさび醤油でいただくのが一般的だ。
一方、たこ酢はタコの刺身かブツにわかめやきゅうりを添えて
二杯酢、あるいは三杯酢と合わせたもの。
世間には酢だこよりたこ酢を好む向きが多いんじゃないかな。
近頃、赤い酢だこをあまり見かけなくなったものネ。

説明にタコの足を借りたが酢がきは酢だこみたいに赤くはない。
生ガキを塩と酢で〆て、さらに酢を合わせたのが酢がきだ。
J.C.は甘さやや抑えめの三杯酢が好み。
レモンを搾っただけの生がきも好きだが、その上をゆく。 
かき酢はたこ酢同様に生ガキに酢を掛け回したもの。
アサツキやもみじおろしをあしらったりもする。

あれあれ、また脱線しちまった。
牡蠣じゃなくて鰻であった。
そう、あれは二月の寒い頃、
大相撲の聖地、両国の街に出掛けていったのだった。

  ♪   あれは二月の 寒い夜
     やっと十四に なった頃
     窓にちらちら 雪が降り
     部屋はひえびえ 暗かった
     愛というのじゃ ないけれど
     私は抱かれて みたかった


     あれは五月の 雨の夜
     今日で十五と 云う時に
     安い指輪を 贈られて
     花を一輪 かざられて
     愛と云うのじゃ ないけれど
     私は捧げて みたかった


     あれは八月 暑い夜
     すねて十九を 越えた頃
     細いナイフを 光らせて
     にくい男を 待っていた
     愛と云うのじゃ ないけれど
     私は捨てられ つらかった


     あれは何月 風の夜
     とうに二十歳も 過ぎた頃
     鉄の格子の 空を見て  
     月の姿が さみしくて
     愛と云うのじゃ ないけれど
     私は誰かが ほしかった
     
     そしてこうして 暗い夜
     年も忘れた 今日のこと
     街にゆらゆら 灯りつき
     みんな祈りを するときに
     ざんげの値打ちも ないけれど
     私は話して みたかった   ♪


          (作詞:阿久悠)

北原ミレイのデビュー曲、
「ざんげの値打ちもない」が街に流れたのは
1970年の晩秋であった。

=つづく=