2017年4月7日金曜日

第1596話 肝の背肝の姿なく (その2)

最寄りはJR日暮里駅北口となる初音小路。
怪しい店も何軒か・・・
路地の突き当りに近い「鳥真」のカウンターに横並び。
相方は旧友・B千チャンである。

再会を祝してさっそくの乾杯は
当方がキリンラガーの中ジョッキ。
健康上の理由でビールがイケない相方は芋焼酎だ。
銘柄は佐藤の白だったか黒だったか忘れた。

カウンターに貼られた品書きを見つつ、串の注文に入る。
当然のことながらマイ・モースト・フェイヴァリットの背肝だ。
B千チャンもこれを最大の楽しみとして遠征して来た由。
頬をゆるめながら店主にその旨を告げる。
ところが、ところがでっせ、
返ってきた言葉に耳を疑いやしたネ。

「背肝がないんですヨ」―すまなそうにひと言。
当夜の肝となるべき背肝がいないとは!
耳を疑ったあとは言葉を失った。
ここんとこずっと入荷がないという。
何でも丸鶏を捌く職人が人手不足で
背肝を取り外せないらしいのだ。

そう言やあ、ときどき食べるローストチキン。
あばら骨の内側の内臓はそっくり抜かれているが
背肝(脾臓)だけは残留していることが多い。
そしてこれこそがJ.C.の大きな楽しみともなっている。

ふ~ん、そういうこってすか。
いや、マイッたな。
相方の落胆もけして小さくはない。
こりゃ近いうちに背肝をたずね、
神楽坂の「駒安」か「酉玉」にでもおツレしなければ―。

気を取り直してオーダーの第一陣。
ハラミ、ハツ、肝の三種をお願いした。
ハラミだけが塩であとはタレだ。
ハツは塩で出す店が多いなか、タレは極めて珍しい。
まっ、これはこれで美味しくいただいた。

第二陣はブツ(もも&胸ミックス)、首ぼん(ぼんじり)、
手羽元せせりである。
もうちょっと稀少部位がほしいところなれど、
店主もあの手この手で苦労しているのが判る。

一串がかなり大きいから小食のJ.C.は以上6本で
腹八分目に到達してしまっている。
中ジョッキを2杯空け、富乃宝山のロックに切り替えた。
続いてトマトの串を1本頼み、あとは飲み続けるのみだ。

しっかしねェ、肝の背肝が無いとはなァ・・・
ハハハ、まだ言ってるヨ。

「鳥真」
 東京都台東区谷中7-18-13
 03-3822-1810