2017年4月14日金曜日

第1601話 メロにメロメロ (その1)

その日は二ヶ月に一ぺんの理髪日につき、渋谷へ。
東京メトロ千代田線・代々木公園駅から
近頃評判の奥シブを通ってヘアサロン「B・H」に到着。
店名をイニシャルでボカしているのは
あまりに豪華絢爛に過ぎて
紹介するほうが赤面を余儀なくされるからだ。

20年近く髪をまかせっきりにしている、
K子チャンはただ今ご懐妊中。
予定日は5月の半ばとのことである。
もうじき店に出られなくなるが電話を入れれば、
出勤に及んでくれる由、ありがたいことである。

いつも通りに髪を理してもらい、
渋谷始発のメトロ・銀座線の乗客となった。
向かったのは下町・深川のメインタウン、
江東区・門前仲町だ。
この町へは大田区・平和島から移り棲んだ。
短期間ではあったけどネ。

当夜はのみ&たべとものA子女史が主催する、
小宴が開かれる予定だった。
初めて訪れる中華料理店は「宝家」。
町の中華屋ながら和食系も手がける店である。
一品一品のボリュームが半端じゃないと聞き及んでいた。
ただし質より量というタイプではないらしい。
それなりの期待を胸に出張った次第だ。

門仲交差点に近い裏路地に店はあった。
一人先着していたのは
先日、谷中は初音小路の焼き鳥屋で酌交したB千チャン。
キリンラガーで乾杯するうちに
三々五々メンバーが集結してきた。

最初に卓を飾ったのはやや小ぶりなフグの丸揚げ。
はて、マフグだろうか、それともショウサイフグか、
高価なトラフグでないことは確かだ。
とにかく小型とはいえ、一人一尾づつのあてがいである。
おい、おい、こんなの完食したらその先が入らんぜ。
いきなり雲行きが怪しくなった。

隣りに座ったのはメンバー最年少のAみ嬢。
これが若さをカサにきてバカスカ食うんだ。
こちらが半分もいかないうちに背骨を残してペロリの巻。
いやはや、若さとバカさがコラボすると
つける薬がありまっしぇん。

続いて銀ムツのカマの煮付けが大皿で―。
コレには一同、目を瞠りやしたネ。
総勢7人だからみんなでとっかかりゃ、
クリア可能と思われたものの、思いは即座に打ち砕かれる。
どう見ても10人から15人前はゆうにありそう。
いったいどうなってんだヨ、この店は!
責任者、出て来いっ!

=つづく=