子どもの頃、一番コワかったものは四谷怪談のお岩さん。
オバケの類い、一つ目小僧やろくろっ首なんぞは
漫画チックでコワさよりおかしみが先行するが
お岩さんはリアルだったからなァ。
イメージを植え付けられたのはやはり映画である。
かつて「四谷怪談」はたびたび映画化された。
長谷川一夫、若山富三郎、仲代達矢、
多くの名優が主人公の田宮伊右衛門を演じてきた。
言っときますけど、
伊右衛門ったってペットボトルの緑茶じゃないヨ。
婿入りしときながら妻のお岩を手に掛けた下手人なんだヨ。
んなこと判ってるってか?
ソーリー!
昭和30年代に怪談ブームが巻き起こった実感などないが
四谷怪談ラッシュと言っても過言でないほどに製作されている。
なかでも印象深いのが天知茂と若杉嘉津子のコンビ盤。
昭和34年の「東海道四谷怪談」で
お岩さんだけでなく、伊右衛門までコワかった。
それにしても江戸の昔には
女性の名前にお岩なんて付けてたんだネ。
現代ならさしづめ岩子さんってところだろうが
これじゃ学校でいじめられそうだ。
お熊やお寅なんてのもあった時代だから
お岩くらいなんでもなかったとしか思えない。
さて、今回訪れたのは岩は岩でも新小岩の町。
めったに来ないお土地柄である。
新小岩となると、洋食の「こいわ軒」、
それに日本そばの「旭庵」くらいしか思い浮かばない。
新小岩駅の改札でE村サンと待合せ、
向かったのは焼きとんの「彩波(いろは)」だ。
駅前でJR総武線と直角に交差する、
平和橋通りを北上してゆく。
いや、正確には北北西に進路を取ったのだった。
途中、左手に見覚えのある「旭庵」が現れる。
歩くこと10分以上、判りにくい場所に目当ての店はあった。
酔客のグループがテーブルを陣取り、
それはそれは賑やかなことである。
ともあれ運よく二人並んでカウンターに落ち着くことができた。
空席がいくつか散見されたが
あとから来た客がやんわり断られていたから予約席なのだろう。
そんなことにはお構いなく、
こちら白ホッピー、あちら角ハイで乾杯のカッチンコ。
暖簾越しに見やるオモテはすっかり夜の帳が下りていた。
=つづく=
オバケの類い、一つ目小僧やろくろっ首なんぞは
漫画チックでコワさよりおかしみが先行するが
お岩さんはリアルだったからなァ。
イメージを植え付けられたのはやはり映画である。
かつて「四谷怪談」はたびたび映画化された。
長谷川一夫、若山富三郎、仲代達矢、
多くの名優が主人公の田宮伊右衛門を演じてきた。
言っときますけど、
伊右衛門ったってペットボトルの緑茶じゃないヨ。
婿入りしときながら妻のお岩を手に掛けた下手人なんだヨ。
んなこと判ってるってか?
ソーリー!
昭和30年代に怪談ブームが巻き起こった実感などないが
四谷怪談ラッシュと言っても過言でないほどに製作されている。
なかでも印象深いのが天知茂と若杉嘉津子のコンビ盤。
昭和34年の「東海道四谷怪談」で
お岩さんだけでなく、伊右衛門までコワかった。
それにしても江戸の昔には
女性の名前にお岩なんて付けてたんだネ。
現代ならさしづめ岩子さんってところだろうが
これじゃ学校でいじめられそうだ。
お熊やお寅なんてのもあった時代だから
お岩くらいなんでもなかったとしか思えない。
さて、今回訪れたのは岩は岩でも新小岩の町。
めったに来ないお土地柄である。
新小岩となると、洋食の「こいわ軒」、
それに日本そばの「旭庵」くらいしか思い浮かばない。
新小岩駅の改札でE村サンと待合せ、
向かったのは焼きとんの「彩波(いろは)」だ。
駅前でJR総武線と直角に交差する、
平和橋通りを北上してゆく。
いや、正確には北北西に進路を取ったのだった。
途中、左手に見覚えのある「旭庵」が現れる。
歩くこと10分以上、判りにくい場所に目当ての店はあった。
酔客のグループがテーブルを陣取り、
それはそれは賑やかなことである。
ともあれ運よく二人並んでカウンターに落ち着くことができた。
空席がいくつか散見されたが
あとから来た客がやんわり断られていたから予約席なのだろう。
そんなことにはお構いなく、
こちら白ホッピー、あちら角ハイで乾杯のカッチンコ。
暖簾越しに見やるオモテはすっかり夜の帳が下りていた。
=つづく=