2018年3月29日木曜日

第1838話 変わりゆく大井町 (その4)

品川区・大井町の飲み屋街にいる。
お次は東小路の奥にある平和小路だ。
目指したメキシコ料理店の前に来ると、
扉が閉ざされているじゃないの。
時刻はすでに18時半を回っている。
臨時休業かいな?

バカ面下げて待っていてもオープンの保証はないし、
ワカモレを食べたいと言った相方には
あきらめてもらうしかない。
ちなみにワカモレはメキシカンの定番で
アボカド主体の一種のサラダ。
ディップというか、ペーストというか、
アボカドはすりつぶされて、そんな状態になっている。

日本ではトンと行かないがニューヨークでは何度も
メキシカンやテクス・メクス(テキサス&メキシコ)の
料理店を訪れたものだ。
ニューヨーカーはこのアボカド料理を
グァカモーレと発音する。
しかし相方はワカモレと音じて譲らない。
よって本稿はワカモレで通す。
おっと、メキシコ料理屋にはフラれたのでした。

ワカモレを空振ったあと、傷心の相方を慰めねばならない。
リクエストを訊ねたらワインが飲みたいとのこと。
それもフランスのブルゴーニュが望みなんだと―。
ふ~む、大井町のディープスポットでフレンチでっか!

駅の反対側、三ッ又交差点方面に
思い浮かんだ店が1軒あった。
それほど遠いわけでもないし、ひと歩きするか?
でもなァ、この混沌エリアをあとにするのは
何となくもったいない気がする。

ところが世の中、けっこう上手くコトが運ぶもんですな。
平和小路から東小路に戻るには
ゼームス坂通りを横断するのだが
そこに1軒のビストロを発見の巻である。

当方はその外観に高級感がないから
取りあえずここにしようかと思案していると、
相方はスキップまでは踏まないものの、
ルンルン気分で店先にまっしぐら。
こうなったらもう止めることはできない。

店の名は「BISTRO MACHERONI」。
「ビストロ マケローニ」だネ。
そのカウンターに二人、横並んだのでした。

=つづく=