2018年3月2日金曜日

第1819話 三匹のおっさん (その1)

”三匹のおっさん”と言ったって
TV東京のドラマじゃございやせん。
ここからは東京下町に現れた、
”三匹のおっさん”のドキュメンタリーにござんす。

夕暮れせまりきて町も色づく門前仲町。
深川不動の参道に三匹が集結した。
時刻は16時過ぎだった。
永代通りを横断し、門仲のランドマーク、
「魚三酒場」に群れなす呑ん兵衛を尻目に
分け入ったのは、その裏路地にある立ち飲み酒場。
何度か紹介したことのある「ますらお」だ。

派手な看板もなく、店舗は2階なのでまったく目立たない。
階段を上がると店先に一人の女性がたたずんでいる。
立ち飲みながら卓にスペースがなくて
順番を待っているとのこと。
開店1時間でもうこの混みようだ。

15分後、案内されて入口近くの小卓を前に立つ。
J.C.はキリン一番搾りの大瓶、
ビールを好まぬほかの二人は冷酒をお願い。
サイズの異なるグラスを合わせた。

つまみは初がつおの刺身とうなぎ白焼きの短冊。
アッサリとした上りがつおは
脂の乗った下りがつおより好きだ。
ニンニクが欲しいが生姜で我慢する。

うなぎも上々。
何たって添えられた本わさびがうれしい。
銀座の鮨屋で修業した店主の矜持がうかがえる。
立飲みだから値付けは抑えめ。
粉わさに妥協しない姿勢を称えたい。

仲間の頼んだ江戸春菊ひたし、
牛すじ煮込みにも箸を出した。
どちらも実に旨い。
雰囲気や使い勝手に多少の難があるものの、
東京一の立ち飲み酒場と言い切ってよい。

こちらも冷酒に切り替えて菊正の樽と
屋号の由来にもなった益荒男を1杯づつ。
益荒男は石川県・加賀市の産だ。
以前にいただいたが風味を忘れてしまったので
再トライに及んだのだ。
ちょいとばかり重さを感じて好きなタイプではないネ。
まっ、いいか。

1時間弱の滞在で2軒目へ。
東京メトロ・東西線で門仲の一つ先、
木場方面へ歩いて向かう。
地番は東陽町5丁目である。

=つづく=

「ますらお」
 東京都江東区富岡1-5-15
 03-5809-8256