2018年6月14日木曜日

第1893話 北へ南へ 亀有の迷走 (その3)

亀有の「空(くう)」である。
何と表現しようか、有態にに言えば創作和食の店だ。
ビールのあとに供されたのは小松菜&京揚げの煮びたし。
これは悪くない突き出しである。

品書きをながめながら相談して決めてゆく。
と言ってもほとんどが相方の好みだがネ。
まず刺身から、かつお・つぶ貝・水なす。
そしてグリーンアスパラと舞茸のバター炒めを。

盛合せで来た刺身を一べつして驚愕した。
生まれてこのかた、こんなに黒いかつおは見たことがない。
かくも黒ずんだ生モノを提供する料理人の良識を疑う。
ここで席を立つわけにもいかないし、
どうにか1切れだけ味わうと、見た目よりは多少マシだった。
とてもじゃないが、あとは手をつけず。
ただし、つぶ貝、水なすはそれなりで
バター炒めは相方が歓んだくらいだ。

山形県・酒田の産、初孫の冷酒に切り替え、
まっくろ、もとい、まぐろ、もとい、かつおには目をつむり、
九条ねぎのぬたと穴子の天ぷらを追加。
ともに水準に達していたから一品の狼藉を嘆くしかあるまい。
会計は5200円。

不完全燃焼の二人は再び南口へ。
あちこちさまよった挙句、
ここぞと狙いを定めたイタリアンには満席で蹴られた。
それではビールでも飲み直そうと
困ったときの「ときわ食堂」にすがる。

スーパードライの大瓶に
マカロニサラダとかつおの口直しのまぐろ中落ちを。
過ごすこと30分と少々だったが
隣りの卓の婆さん四人組がかしましいのなんのって!
しまいにゃ店主をイジりだしての大騒ぎ。
つけるクスリがねェな、ったく。
1300円を支払って退散の巻である。

先刻、蹴とばされれたイタリアンはまだ満席状態。
ここで迷走に愛想をつかした相方が提案したのは
「PRONTO」だった。
「エッ? プロントでっか? 入る気しないなァ」
「悪くないわヨ、ダイジョブだって―」
コーヒーを好まぬJ.C.はほとんど利用したことがないけど、
仕方があるまい。

ところがホントに悪くなかった。
ちょい飲みワイン赤というのを2杯づついただき、
つまみはどろソースのたこ焼きに鳥取すいかのカプレーゼ。
たこ焼きはごくフツーながらカプレーゼは特筆の珍しさ。
トマトの代わりに鳥取産源五兵衛すいかの醤油漬けを
使用したもので一食の価値大いにありの1皿だった。
日付が変わる前にお開きとしての勘定は金2300円也。
疲れたビー!

=おしまい=

「空(くう)」
 東京都葛飾区亀有5-23-11
 03-3628-6099

「ときわ食堂 亀有店」
 東京都葛飾区亀有3-11-13
 03-3603-7041

「PRONTO 亀有店」
 東京都葛飾区亀有3-25-1
 03-3601-6116