2018年10月9日火曜日

第1976話 すじがき通りにいかぬ夜 (その3)

神奈川県・川崎市の新丸子にいる。
武蔵小杉を皮切りに飲み歩く予定が
早くも崩れたカタチとなった。
予定は未定にして確定に非ず。
所詮、すじがきなんてものは
書き換えられるためにあるのかもしれない。

生ビールをお替わり。
急に相方が豚足を食べたいと言い出した。
何でも幼少のみぎりから
近所の朝鮮焼肉店で食べ親しんだそうな。
だよねェ、川崎は焼肉屋が多いからなァ。

壁のメニューには豚足煮込みがあった。
まさかモツ煮込みの豚足版ではあるまい。
実際は煮込みというより、茹でた豚足だった。
あっさりしていてなかなかの美味。
少なくとも当店の焼きとんより好きだ。

3千円ちょっとの会計を済ませ、さて、移動である。
当初は溝の口の焼きとんの予定だったが
互いに焼きとんはもういいや、という心境。
それにわざわざムサコに戻るのも面倒だし・・・。
溝の口から三茶の三角地帯はまたの機会にした。

ここでひらめいたのが「三ちゃん食堂」だ。
新丸子のランドマーク的存在は
ジモティーに愛されてやまぬ食堂兼酒場。
しかも「小国」からは歩いて5分の距離にある。
相方に異論とてあるハズもなく、速やかに向かった。

時刻は18時前後だったろうか―。
引き戸を引くと、店内は大盛況の極みだ。
まるで芋の子を洗うが如くで空席が見当たらぬ。
しばし立ちすくむ二人であった。

立って待つこと5分余り、どうにか着席の巻である。
ビールは飽きたから八海山の冷酒でスタートした。
つまみは赤貝刺しと小肌酢。
それにグリーンアスパラ・マヨネーズ。
これは独り者のFチャンが
野菜不足を補うためのリクエスト。

ワイガヤの店内でわれわれも負けてはいられない。
話題はもっぱらプロ野球である。
熱烈なDNAファンの彼は
ジャイアンツとの3位争いが最大の関心事。
J.C.は消極的巨人ファンだが
DNAがクライマックス・シリーズに
勝ち進んでも構わないと考えている。
なぜならば・・・。

=つづく=

「やきとん 小国」
 神奈川県川崎市中原区丸子通1-640
 044-411-5677