2018年10月22日月曜日

第1985話 やきめしという名のチャーハン (その2)

豊島区・池袋のはずれ、板橋区に近い「なみき食堂」。
ビールを飲みながら、やきめしが来るのを待っていた。
ここで当店のメニューを紹介しておこう。
品目があまり多くない中、
名代と言い切っていいのかどうか判らないが
とにかくやきめしから。

やきめし・カレーライス(各540円) 
とんかつ・生姜焼き(各320円)
ハムエッグ・目玉焼き(各180円) 
オムレツ(220円) オムライス(760円)
チキンライス・ドライカレー(各650円)
かつ丼・親子丼(各650円)
ラーメン(490円) 夏季限定:冷やし中華(650円)

ほかにも惣菜類があるものの、メニュー掲載はナシ。
このあと、支払いの際に厨房をのぞくと、
焼き魚やら煮物やらの皿が並んでいた。
客が好きなものを取るシステムも
ピークの時間が過ぎたため、片付けられていたらしい。

二十歳前後の若いアンちゃんが入店して
やきめしと生姜焼きを通した。
この2品にラーメンが加われば、
当店の人気御三家の揃い踏みだ。

続いて近所の常連と思しきオッサンが来店。
「酎ハイ!」と叫ぶやいなや、
棚から新聞を2紙ピックアップ。
日刊紙とスポーツ紙のようだが、こういうのっているよネ。
1紙づつ読めばいいものを独占したがる輩(やから)。
ヒドいのになると、3紙なんてのを見掛けたりもする。
まさしくお里が知れるというヤツで
公的マナーの欠落というほかはない。

やきめし登場。
具材は、豚バラ肉・玉ねぎ・玉子の3種。
加えて仕上げに散らしたグリーンピース。
見た目はそれこそ何の変哲もない。

さっそく一匙すくってみるとベースは塩味。
醤油が少々にあとは化学の子だ。
上手いことまとめてあるものの、
やはりちょいともの足りない。
例えば、先月出会った川崎の佳店、
「成喜」のチャーハンとは比べるべくもない。
それでも完食して、お腹はいっぱい、イッパイ。

昭和2~30年代、まだみんな貧しかった頃。
町の中華屋の味を出せない家庭の主婦が
化学の力を借りつつ、夫や子どもたちのために
ひたすら鍋を煽ったやきめしという名のチャーハン。
懐かしさだけはしっかり舌に残った。
これもまた良き哉。

「なみき食堂」
 東京都豊島区池袋3-37-1
 電話ナシ