2019年10月16日水曜日

第2242話 わが心の町中華 (その1)

自著「庶ミンシュラン」にあるように
東京における町中華の代表格として
こよなく愛し続けてきた昭和31年創業の「砺波」。

地番は台東区・谷中ながら
東京メトロ千代田線・千駄木駅より徒歩1分の至近。
駅前の団子坂下から団子坂とは
反対側の三崎坂(さんさきざか)の上り口にあって
千駄木「砺波」のほうが通りがよい。

先の参院選投票日だった。
投票を終えて立ち寄ったとき、
「高齢のため、10月末をもって廃業」の貼り紙に愕然とした。
誰かを誘ってしっかり食べにゃならん、
そう思ったものだ。

9月初旬、実際に観たわけじゃないが
BS-TBSの番組、「町中華で飲ろうぜ」で
玉筋のヤツが「砺波」を紹介しちまったらしい。
まったく余計なことをしてくれたものよのぉ。

体力の衰えを理由にリタイアする老夫婦の店に
番組を観たオジャマ虫がウンカの如く押し寄せ、
今では行列まで成す始末。
これじゃ、年寄りに対するイジメどころか拷問だぜ。
かく言うJ.C.も閉じる前に最低2回は
オジャマしようと企んでるからウンカの1匹だ。
いや、ツレを含めて2匹になるネ。

ただし、われわれはTVにツラれた、
にわかグルメなんかではけっしてない。
根っからの愛好者、それこそ玉筋入りの、
もとい、筋金入りのファンなのだ。

そうしてこうして行列のできる前。
夜の営業が始まる17時ちょうどに赴いた。
相方は文京区在住で、やはり「砺波」ファンのY澤サン。
「すでにご存じでしょうが『砺波』が廃業しちゃいますヨ」-
親切なメールをくれた御仁だ。

当店にはこれしかないビール、
キリンクラシックラガーで乾杯。
この状況を見越して出掛ける直前、
自宅の冷蔵庫から取り出した、
愛飲銘柄のロング缶を飲ってきた。
もちろん、つまみなんか食べてない。

通した料理は、餃子・酢豚・五目上海焼きそばの3品。
ここへ来るのはだいたい昼過ぎだから麺類が多く、
一品料理はほとんど試していない。
アサヒかサッポロがあったら晩酌にも利用したのになァ。

=つづく=