2019年10月30日水曜日

第2252話 ボーっと乗ってんじゃねーよ!

理髪のため、都(みやこ)の西南、
われらが母校ならぬ、サロンへ。
その日はわりと早めに目が覚めたので
軽いプチ・デジュネをつとめてゆっくり取ったあと、
朝刊をすっかり読み終え、ロードをヒットすることに―。

行き掛けの駄賃を目論んで向かったのは
東急池上線・荏原中延の洋食店「ふじかわ」。
数種類の料理から2種、あるいは3種択べる、
その名もエラベルセットが狙いだ。

メトロを大手町で千代田線から都営三田線に乗り換え、
お次は三田で同じく都営の浅草線に乗り換えたつもり。
ところがそいつは京急直通の三崎口行きだった。
これでは四十七士の墓どころ、
泉岳寺でまたまた乗り換えなきゃならない。
ロンドン・パリに比べ、東京の地下鉄は不便よのぉ。

ボーっと乗ってたんだろうねェ。
気がついたら1駅乗り越して品川駅ときたもんだ。
わざわざ戻るのはシャクだから
このまま行って平和島あたりでランチにしよう。
そう思ったものの、
急行だかなんだか、京急蒲田までノンストップ。
タハッ、ずいぶん遠くへ来たもんだ。

数年前に高架化された駅の改札を抜け、
地上へ降りたらアーケード商店街、
”あすと”が口を開けて待っていた。
歩き始めて間もなく「井戸屋」なる食堂に行き当たった。
昭和の面影残す店内は近所の家族連れでにぎやか。
地元密着度の高さがうかがえ、これならハズすまい。

左右に並ばるテーブルの間を直進。
奥がオープンキッチン・カウンターになっており、
飲む客、食う客入り混じるものの、みなツレなしの単身者。
互いに干渉し合うことなく、孤独のグルメに徹している。
(それじゃあ、遠来のオッサンも仲間に入れてよネ)
心につぶやき、端っこに着席した

ビールは生も瓶もキリンにつき、見送り。
もっとも胸に一案あればこその余裕なんだがネ。
注文はさば味噌煮定食(580円)としらすおろし(150円)。
しばらく様子を見ていると、あじフライ定食(580円)に
本日のサービス定食(700円)の人気が高い。
サービスは紅鮭塩焼きとスパゲッティサラダのコンビだ。

オペレーションは中2・外1の男ばかりが3人。
エプロンに三角巾のオバちゃん、オネエちゃんの姿はない。
整った膳の味噌煮には煮汁用の薄切りしょうがに加え、
さばの上に針しょうがまであしらわれている。
大衆食堂のわりには芸がこまかい。

身に臭みはないし、骨がさほどあるでもなく食べやすい。
わかめ&とうふ味噌汁はそれなりだが
きざみたくあんと緑色がケバいきゅうりのキューちゃん風は
箸をつける気になれなかった。

オッサンにはちょうどのボリューム。
価格を考慮すれば上々の昼めしだった。
胸の一案を道連れにアーケード”あると”を
奥へ奥へと足早に歩いて行きました。

「食事処 井戸屋」
 東京都大田区蒲田4-5-7
 03-3739-4316