2020年6月3日水曜日

第2407話 カニを殻ごと食ったんだガニ (その2)

 墨田区は東京曳舟病院裏の「上海菜館」。
伊勢崎線・曳舟駅の出口というか、
裏口みたいなとこを通れば、改札から30秒の距離にある。

ビールと一緒に運ばれたのはサービスのお通し。
甘酢漬け、いわゆるピクルスは気が利いており、
大根4・にんじん2・きゅうり1片。
これだけで555mlは滝の如くにノドを滑り落ち、
まだ大根とにんじんが1切れづつ残っている。

菜譜をチェックしつつ、記念ジョッキのお替わりを所望。
カニと玉子の炒め(蟹肉炒蛋)に目が留まった。
いかん、いかん、早いとこカニの呪いから抜け出さなければ―。
しかもエビと玉子の炒め(蝦仁炒蛋)の800円に対して
蟹肉炒蛋はワンコインの500円に過ぎない。
これでは期待しろという方がムリだ。
玉子の中で海の藻屑程度が漂っていることだろう。

いや、待てヨ、モクズガニって安いのがあるから
そいつがそこそこ入ってたりして・・・んなことあるワケない。
だが、再び待てヨ、モクズガニはかの有名な上海蟹の同属異種、
上海蟹の別名は中国藻屑蟹なのだ。
しかも此処は「上海菜館」、上海蟹が入ってるかも・・・
んなこともっとあるワケない。
すると目に飛び込んできたのが

ソフトシェルクラブのから揚げ特製チリソースがけ(850円)

中国名を干焼軟皮蟹という。
でもなァ、この料理はそうそう出るもんじゃない。
冷凍に決まってるし、
初めての店でいきなり注文するのははばかられる。

そう思っている矢先、ジョッキのお替わりを運んで来た、
オネバさんのウエイトレスに対し、言葉が勝手に流失した。
「ソフトシェルクラブありますか?」
彼女、すかさず応えて
「ございます!」
厨房に確認することもなく言い放った。
彼女自身、在庫を把握しているからこそで
言葉遣いもイラサマセ~系とは明らかに異なる。
これなら信用できるのだ。

脱皮直後の柔かい殻が付いたままのカニの唐揚げには
海老チリ用のソースが掛かり、
下にはレタスとキャベツが敷かれていた。
頼んでおいて言うのもなんだが、それほどの美味でもない。
独りで食べ切るには苦しいものがあった。

一品だけでは愛想がないし、体裁もよくない。
3杯目の555とともに中華風ソーセージ(450円)を追加。
腸詰や香腸と呼ばれるものは先日、
大森の「喜楽」で舌鼓を打って味をしめた。
味わいは「喜楽」に遠く及ばなかったがネ。

結局は薬局、またまたカニを食ったんだガニ。
それも殻ごと丸々2尾も食ったんだガニ。
毎度、似たような話を読まされる読者はたまらんでしょうが
これが最後のカニだと思い、我慢してくだされ。
カンニンどっせ!

「上海菜館」
 東京都墨田区東向島2-29-11
 03-3613-1252