2020年6月24日水曜日

第2422話 この夏 最初の冷やし中華

その日は食料買い出しのため、北千住へ。
マルイ地下の食遊館で鮮魚、精肉、ハーブ類の調達だが
その前に腹ごしらえである。
いつも駅周辺で済ませているので
たまには日光街道の向こう側、旧市街に赴くつもりだ。

街道を渡った直後、驟雨に見舞われる。
今来た商店街はアーケードだから濡れずに戻れるが
それじゃ面白くも何ともないし、しばらく雨宿りしようかな。

おう、目の前に中華「りんりん」があるじゃないの。
看板のラーメンと餃子を低価格で提供する当店は
北千住の良心といってよい。
近所のイタリアン「イル・ポルトローネ」で
ワインを飲んだあと、立ち寄ったのが3年前。
久方ぶりだし、この空模様じゃ即断するほかはない。

「りんりん」の難点はビールはもとより
酒類を置かないことだが、その理由はよく判る。
カウンター8席しかない店に
押し寄せる客はひっきりなし。
空気を読まずにビールをだらだら飲んでたひにゃ、
ノーマスクで電車に乗るようなもの。
周りから白い目の集中砲火を浴びる。

店頭に貼られた、冷やし中華のポスターが目に入った。
よおし、この夏初めて、イッたろうやないかい。
昼のピークを過ぎてるせいか、すんなりと席に着く
おや? 親父さんの姿が見えないゾ。
女将さんは相変わらず、てきぱきと餃子を包んでいる。
ほかにオネバさんとアンちゃん2人、計4人のオペだ。

決断した通り、冷やし中華をお願いした。
客が続々と入店して来てほとんどがラーメン・餃子。
何たって490円+260円=750円で食べられるからネ。
チェーン店の「日高屋」や「ふくしん」ならともかく、
個人経営の店舗としては破格の値付けだろう。

数人の後客に先を越されながら
ようやく冷やし中華が運ばれた。
あれれ、てっぺんにマヨネーズが搾られて
下にはレタス・きゅうり・ハムの配置。
いきなりマヨネーズなんて初めてじゃないかな。

麺のシコシコ、つゆの味付け、ともに悪くはないけれど、
いかんせん、マヨ&レタスが引っ掛かる。
ハムにしたって半月切りで細切りではない。

奇をてらわずに店の看板メニューを
素直にいただくのが一番と、あらためて確信。
頭を冷やして考えりゃ、当り前のハナシだ。
こうして冷静に振り返ることができたのも
冷やし中華が冷やしてくれたおかげでした。

「りんりん」
 東京都足立区千住中居町17-14
 03-3870-2187