2020年6月4日木曜日

第2408話 コリアンタウンのシューマイ

この日の散歩は浅草観音裏でスタート。
ソープランド・エリアには足を踏み入れず、
千束、竜泉、三ノ輪と抜けて
台東区から荒川区・東日暮里に入り、三河島方面へ。
三河島は新宿区・新大久保と肩を並べる、
東京のコリアンタウンだ。

日が長くなったとはいえ、夜の帳が落ちる頃。
独り焼肉とまいろうかの。
だけどサ、ビール1本にカルビ1皿じゃ出て来られん。
マッコリとハラミでも追加せにゃ、カッコがつかない。

思いをめぐらせて歩く東日暮里3丁目。
東京朝鮮第一初中級学校を過ぎてほどなく、
「すずき」という、
中華らしからぬ屋号の町中華に通りすがった。
何となく相性の良さを感じて暖簾をくぐる。

先客は単身の男女一人づつ。
それぞれの卓で酎ハイだかサワーだかを飲んでいる。
どちらも近所の常連さんと見受けた。
こちらは誰もいないカウンターの中央に落ち着く。

ビールはキリンラガーの大瓶のみで選択肢がない。
突き出しは絹ごし豆腐の冷奴。
サービス品なのにけっこうな大きさで
きざみねぎとポン酢が掛かっていた。

うむ、うむ、これはミツカンの味ぽんだな。
なるほど、味ぽんなら花がつおとおろし生姜が省けるネ。
ランチが重かったせいで
軽いものを物色し、シューマイを通した。

あとで判ったがシューマイは当店の名物だった。
主人のすずきサンは築地場内にあった中華「やじ満」の出身。
現在は豊洲に移った「やじ満」の名代がシューマイ。
それも1粒から注文できるので
ほとんどの客がラーメンや炒飯の添え物とした。

「すずき」にはバラ売りがなく4カン1人前で400円。
縦長というか腰高というか、ちょいと変わったカタチだ。
店主のオススメに従い、中濃ソース&辛子でいただく。
豚肉と玉ねぎが上手いことコラボしている。

ほかにつまみは要らないがメニューに見入ると
おや? コレは珍しい、もやしそばが2種類あった。
普通のもやしが650円で、あんかけにすると750円。
いや、珍しいと言うよりこんなの初めて見たヨ。

やはり、好みのビールが飲みたくなり、
愛想ナシを恥じながらの会計は千円札1枚。
このとき背後に女性の笑い声を聞いた。
視線が合わないよう、気をつけて振り返ると
TVでは藤田まこと扮する中村主水が
「いえ、それは母上!」とか何とか言いながら
きんサン・万里サンにいびられておりました。

「すずき」
 東京都荒川区東日暮里3-22-7
 03-3807-0044