高輪ゲートウェイが加わって全30駅となったJR山手線。
その中で最も乗降客数が少ないのが鶯谷だ。
しかし、此処は都内有数のラブホ激戦区につき、
人々は電車を乗り降りせず、ベッドを乗り降りしている。
二つある改札口は谷の底に北口、谷の上に南口。
ラブホ街に近いからか、北口のほうがにぎやかで
小さなロータリーを擁する南は寂しい。
それでもタクシー乗り場があるため、利用客が降りてくる。
行く先の大半は吉原だろう。
そう、鶯谷は吉原に一番近い山手線の駅なのだ。
ロータリーの一画、
かつて日本そば屋「童心舎」があった場所は
JR傘下のコンビニに変わってしまった。
新坂なる名称の坂を左にゆくと跨線橋。
なおも下れば、立ち食い焼きとんの「ささのや」。
陽が落ちる頃には串を焼く煙がモウモウと立ち込める。
その数軒先にとんかつ「とん平」が暖簾を掲げている。
戦後まもなくの開業というから七十有余年になるが
正確なことは現三代目にも判らないそうだ。
まだコロナ禍に見舞われる前の二月。
昼過ぎにロースカツライス(1400円)をいただいた。
そのときの印象。
三十代と思しき店主一人の切盛り。
ほどなく肉を揚げる音がピチピチとー。
脂身の少ないロースはやや熱の通し過ぎ。
ガシガシ感の残るコロモも気になる。
シャキシャキのキャベツよく、ちょっぴり添えられた、
玉ねぎ&きゅうりのマヨ和えがナイス・アクセント。
ライスと大根&きゅうりの浅漬けにも手抜かりナシ。
別売りの味噌椀はとん汁(300円)、
わかめ(200円)と割高感否めず。
L字形カウンターは6・3の9席。
L字の角は90度より広めで100度か―。
端っ子に今も使われているピンク電話があって
その脇に小さな手洗い用蛇口だが
手は洗えても電話機がジャマで顔は洗えず
ザッとそんな感じであった。
不完全燃焼だったため、
裏を返してヒレカツライスをと目論んだ。
再訪したのはコロナ禍渦中の四月。
案の定、自粛休業中で目論みは外れた。
そりゃ、事前に電話を入れりゃ済むことなれど、
実地検分しなけりゃ、把握できないこともある。
そうこうするうち、シツッコかった梅雨も明けた。
=つづく=
その中で最も乗降客数が少ないのが鶯谷だ。
しかし、此処は都内有数のラブホ激戦区につき、
人々は電車を乗り降りせず、ベッドを乗り降りしている。
二つある改札口は谷の底に北口、谷の上に南口。
ラブホ街に近いからか、北口のほうがにぎやかで
小さなロータリーを擁する南は寂しい。
それでもタクシー乗り場があるため、利用客が降りてくる。
行く先の大半は吉原だろう。
そう、鶯谷は吉原に一番近い山手線の駅なのだ。
ロータリーの一画、
かつて日本そば屋「童心舎」があった場所は
JR傘下のコンビニに変わってしまった。
新坂なる名称の坂を左にゆくと跨線橋。
なおも下れば、立ち食い焼きとんの「ささのや」。
陽が落ちる頃には串を焼く煙がモウモウと立ち込める。
その数軒先にとんかつ「とん平」が暖簾を掲げている。
戦後まもなくの開業というから七十有余年になるが
正確なことは現三代目にも判らないそうだ。
まだコロナ禍に見舞われる前の二月。
昼過ぎにロースカツライス(1400円)をいただいた。
そのときの印象。
三十代と思しき店主一人の切盛り。
ほどなく肉を揚げる音がピチピチとー。
脂身の少ないロースはやや熱の通し過ぎ。
ガシガシ感の残るコロモも気になる。
シャキシャキのキャベツよく、ちょっぴり添えられた、
玉ねぎ&きゅうりのマヨ和えがナイス・アクセント。
ライスと大根&きゅうりの浅漬けにも手抜かりナシ。
別売りの味噌椀はとん汁(300円)、
わかめ(200円)と割高感否めず。
L字形カウンターは6・3の9席。
L字の角は90度より広めで100度か―。
端っ子に今も使われているピンク電話があって
その脇に小さな手洗い用蛇口だが
手は洗えても電話機がジャマで顔は洗えず
ザッとそんな感じであった。
不完全燃焼だったため、
裏を返してヒレカツライスをと目論んだ。
再訪したのはコロナ禍渦中の四月。
案の定、自粛休業中で目論みは外れた。
そりゃ、事前に電話を入れりゃ済むことなれど、
実地検分しなけりゃ、把握できないこともある。
そうこうするうち、シツッコかった梅雨も明けた。
=つづく=