明治32年(1899)創業の「翁庵」。
敬愛する池波正太郎翁が贔屓にした、
旧神田連雀町「まつや」を
コンパクトにしたような空缶にくつろいでいる。
2枚の色紙であった。
誰が記したものか
字を読めない不良品が多いなか、珍しく読めた。
東京のおそばらしい
おそばだと思います
土井善晴
本当はラーメンよりも
そばが好き
林家木久扇
アッサリとした短文ながら
二人の個性がシッカリ伝わる名文ですネ。
山田クン、ザブトン1枚づつ。
そしてねぎせいろの後半戦に突入。
最初からずっと思っていたのだが
当店のそばはヤケに長い。
10年ほど前から他店でも感じているが
ここのは特に長い。
製麺機が改良されたせいかな?
箸を高々と持ち上げても事足りず、
2度ほど立ち上がってしまったヨ。
子どもみたいで恥ずかしいから
中腰にとどめておいたがネ。
あらためて店内を見渡しながらそば湯をすする。
ボーッとしてたら妙なことを思い出した。
もう10年以上も前のことだが
上野のお山の東京文化会館脇にあるカフェで
オペラのプリシアター。
支払いの際にカード類をぶちまけてしまった。
財布を持つ習慣のないJ.C.は
パンツの右の前ポケットに5千円以下の札と小銭。
尻ポケットに数枚の万札。
二つに折りたたんだ札の間に各種カード挟み込む。
それをバラバラとまいたのだ。
すべて回収したつもりが
目の前の滑車付きカウンターの下に
1枚だけ滑り込んだらしい。
翌日、AMEXから当社のカードが上野警察に
届いているのでピックアップせよとの電話。
無事事なきを得て退出する際、
「翁庵」の出前と玄関ですれ違った。
出前板の上には二つの丼がー。
まごうこと無きかつ丼だ。
へえ~ッ、映画みたいなことがsるもんだ。
感心することしきりであった、
ちなみに取調室の定番、かつ丼は森繁の主演映画、
「警察日記」がその始まりとされている。
「翁庵」
東京都台東区東上野3-39-8
03-3831-2660