隔月の食事会がほぼ定例化した六人会。
此度の舞台は板橋区・小茂根の和食店「樽見」。
最寄りはメトロ有楽町線・小竹向原だ。
何度もうかがっているが10年ほどご無沙汰した。
屋号「樽見」を目にすると
オートマティカリーに連想するのは
映画「飢餓海峡」。
水上勉の原作は未読ながら
内田吐夢がメガホンをとった映画は何度も観た。
主演の両優、三國廉太郎と左幸子の存在感に圧倒される。
三國扮する殺人犯、犬飼多吉が後年、
京都・舞鶴で名を遂げ、財を成して樽見京一郎を名乗る。
よって「樽見」に来ると三國の顔がまぶたに浮かぶのだ。
食の不毛地帯、板橋区にあって「樽見」は稀有な存在。
おそらく区内随一の飲食店ではなかろうか?
食材の質が極めて高く、包丁も鋭い。
下ごしらえ、味付けともに申し分がない。
かつて利用した際はいつも多人数でおジャマし、
河豚か毛蟹を愛でることが多かった。
J.C.の要望により、
幹事が毛蟹を打診してくれたのだが
目が飛び出るほどに超高価。
諦めざるを得なかった。
よって今宵の主役は刺し盛りである。
あとは各自、思い思いの一品料理を
ランダムに通していった。
かなりの品数に達したため、
わが注文は水茄子だけにとどめおいた。
刺し盛りの内容は
真鯛・真あじ・〆さば・中とろ・
甘海老・つぶ貝・するめいかなど。
あと何かあったかもしれないが
記憶の範囲を超えている。
そのあとは料理が次から次へと運ばれ来た。
鳥から揚げ・チキンサラダ・生ハムサラダと
普段、自分ではまず頼まない品々のオンパレード。
一同の食欲には恐れ入る。
生ビールから冷酒にチェンジ。
麒麟山・久保田千寿・酔鯨と継いで
いや、ずいぶん飲んだな。
締めは日本一の太さと柔らかさを誇る伊勢うどん。
日本各地からお伊勢参りに訪れる、
参拝客の疲れた胃袋を慮ったヤワヤワうどんだ。
さほど美味しいものでもないが
霊験あらたかにしてご利益もあろう。
会計は一人アタマ8千円でありました。
「魚菜酒房 樽見」
東京都板橋区小茂根1-10-17
03-3959-0885