ここ数年、もっとも利用率が高いのは
池之端の日本そば「新ふじ」である。
この世で一番好きな店と言い切っても過言ではない。
もともと界隈の人気店だが
この1年ほど、ずいぶん立て混むようになった。
店先の腰掛けに1~2人なら待つ気にもなるが
それ以上だとあきらめる。
そしてそのたびに隣りの隣り、
洋食店「JACK」に流れるのだ。
ご夫婦二人きりの切盛りで
今ではすっかりなじみとなり、
「いつもどうもありがとうございます」
必ず奥さんにささやかれるようになった。
ついでに言わせてもらうと
この方ほど丁寧な接客をする人を
J.C.はほかに知らない。
こちらが恐縮するくらいだ。
10年ほど前に一度だけおジャマしたが
そのときの印象は薄い。
それが何度か通ううち、この店の良さに気づいた。
12品あるメニューにまったく穴がない。
メインだけでなく、手抜きのない付け合わせが秀逸。
繊キャベ、トマト、きゅうりに
マカロニサラダがうれしい。
短い間にすべて食した。
近所だからこそできる芸当だ。
普段、めったに注文しないオムライスすら
向かいに座ったOL三人組の
美味しい、旨いの連発に
つい誘われて試した次第。
それほどではなかったものの
水準はクリアしていた。
箸で食べさせる洋食だが先日、
チキンソテーを頼んだ際に
ナイフ&フォークが出て来た。
ん? 「JACK」でナイフ?
すかさず裕次郎が歌い出した。
♪ 砂山の砂を 指で掘ってたら
真っ赤に錆びた
ジャkックナイフが 出てきたよ
どこのどいつが 埋めたか
胸にジンとくる 小島の秋だ ♪
(作詞:萩原四朗)
「錆びたナイフ」は1957年8月のリリース。
楽曲も印象的だが
思い出深いのは翌年の同名映画。
弟役の小林旭が狙撃されるシーンである。
怖いですねェ、怖かったですねェ。
もうお時間来ました、サヨナラ、サヨナラ。
=つづく=