2024年8月8日木曜日

第3597話 鳥居酒屋に飛び込んで (その1)

バスに乗るのが好きである。
その次が電車で、地下鉄は一番最後。
窓の外が真っ暗闇だからネ。
地下鉄は辛うじて都営大江戸線が好き。
都知事だった石原慎太郎が試乗した際、
「ずいぶん狭いな」とのたまわった線だ。
東京メトロなら最古の銀座線がいいな。

上野御徒町のプラットフォームにたたずみ、
内回りでも外回りでも先に来た方に乗るつもり。
外が先着して乗り込んだ。
門前仲町・築地市場・六本木・都庁前経由、
終点光が丘行きである。

乗ってから考えるのは毎度のこと。
隅田川の下ををくぐり、墨東・森下で降りた。
のらくロードにでも行ってみよう。

清澄通りを南下していて通りの向こう側に
営業中の「鳥椿 深川森下店」を見とめた。
どこかで聞いた店名だが利用したことはない。
門仲の人気店「魚三酒場」の流れを汲む、
「魚三酒場 常盤店」の2軒隣りだ。

「魚三」が開くまでは2時間もあった。
ガラス越しに「鳥椿」の中をのぞくと
グループが1組和気あいあい。
よおし、決めた! 飛び込んじゃえ! 
カウンターに滑り込む。
正面のテレビが「ミヤネ屋」を映していた。

ビールは黒ラベルの大瓶。
トクトクやってググイのグイ~ッ!
浅草でん、深川でん、
下町で飲む酒は胃袋に染み渡る。
山の手だととてもこうはいかない。
山の手が無くなっても東京は東京だが
下町が消えたら東京は北京になっちまう。

今日は朝食がブランチにズレてしまい、
ハムとトマト&きゅうり、
2種のサンドイッチを食べた。
よって飲みたいけれど、あまり食べたくない。

接客のオネバさんに
塩煮込みが鳥であることを確認して発注。
これがなかなか好かった。
鳥皮に加えて肩肉だろうか?
あとは豆腐とコンニャクだけ。
煮込みとして正しい姿だ。

塩煮込みは鳥が一番。
豚モツならば味噌が好く、
牛スジの場合は醤油の甘辛仕立てが好ましい。
それが煮込みの三段論法というものである。

カウンターにJ.C.から1席空けて
常連らしきオジさんが座った。
おやァ? オジさん何も言わないのに
飲みものが出て来たヨ。

=つづく=