2014年4月2日水曜日

第807話 政宗は乱世の美食家

今話も前話に続き、NHK-BSである。
数日前に観たのは「BS-歴史館」。
主役は奥州の名将・独眼流こと、伊達政宗。
大震災から8ヶ月後の2011年11月に放映された番組の再放送だった。

秀吉と家康、天下を睥睨した両巨頭と
存分に渡り合ったみちのくの度胸千両は
歴史愛好家の間でいまだに根強い人気を誇っている。

あまり知られてないが政宗は乱世きってのグルメであった。
包丁を手にするかと思えば、
訪れたVIPには自ら配膳に及んだという。
戦国の世にあって茶の湯に秀でた武将は数知れずとも
料理までこなす殿様は他に類を見ない。
おのれの根城、仙台城(青葉城)のシェフにしてギャルソンだったのだ。

政宗は毎朝、目覚めると、
当日の献立を自筆でしたためたという。
その内容たるや、ミシュランの三つ星レストラン顔負け。
ある日の朝食の一部を紹介してみよう。

 このわた  赤貝串焼き  鮭なれずし  
 雲雀(ひばり)照り焼き 雉子(きじ)味噌汁

このわたは酒の肴につき、朝から酒をたしなんでいたことが判る。
赤貝はこの時代、すでに地元の名産品だった。
ひばりの照り焼きというのもスゴい。
天高く舞ってさえずる小鳥はいったいどんな味がしたのだろう。
故美空ひばりに食べさせであげたかった。

番組の出演者のひとり、石坂浩二は雑学の帝王。
彼によれば、当時の出汁は鳥系が主役であったらしい。
献立に雉子の味噌汁が見えるが
冬場はシベリアから飛来した白鳥さえ食したという。

挙句はオットセイのたたきまで登場する。
400年前の三陸にはオットセイがやって来ていたんだねェ。
この珍品を将軍家に贈ったりもしている。
徳川秀忠や家光がオットセイを食っていたとは―。

東北大震災のまさしく400年前の1611年。
やはり三陸沖を震源地とする大地震が発生して
仙台では5千人を超える死者が出た。
こういうのって単なる偶然だろうか?

アメリカの同時多発テロは2001年9月11日。
東北大震災は2011年3月11日。
月日(がっぴ)だけ見れば、10年の時を経て半年後の同日だ。
関東大震災は9月1日だし、
1、3、9、11日は日米の厄日になろう。
ちなみに伊達政宗が没したのは寛永13年であった。