今年の花見はたったの2回だけだった。
およそ30年ぶりの上野のお山と初めての飛鳥山だった。
上野は最悪。
あんな場所で花を愛でてはいけない。
そんなことは判っちゃいたけれど、
諸般の事情により、カタチだけの花見を決行したわけだ。
もう一つはJR王子駅前の飛鳥山。
花の様子は散りぢりに逆三分といった様相。
ようするに七分は落花しちまったということ。
とにかく都内の桜はすでに散り終えた。
♪ アカシヤの 花も散って
あの娘はどこか 俤(おもかげ)匂う
赤いハンカチよ
背広の胸に この俺の
こころに遺(のこ)るよ 切ない影が ♪
(作詞:萩原四朗)
桜も散れば、アカシヤだって散る。
曲は石原裕次郎の「赤いハンカチ」。
1962年10月のリリースである。
およそ1年後に映画化され、
東京オリンピックの年の正月に公開された。
あれから早や50年、嗚呼!
実はこの曲もこの映画も大好きなのだ。
6年前に上梓された自著、「文豪の味を食べる」では
小説家に限らず、噺家・作曲家・歌手・映画監督・俳優にも
枠を拡げて彼らの食跡をたどった。
裕次郎がたびたび訪れたのは地元・逗子の中国料理店「海狼」。
彼の稿を紹介してみたい。
=海を見ていた裕次郎=
小学校に上がる前の年のことだった。
当時住んでいた中板橋の路上に張り出された、
「嵐を呼ぶ男」のポスターで初めて石原裕次郎の顔を見た。
裕次郎も映画のタイトルも子ども心にカッコいいなぁと思った。
記憶が確かならば、初めて観た裕次郎映画は「錆びたナイフ」。
「嵐を呼ぶ男」のポスターからおよそ一年後、
小学校に入学した年に移り住んだ大森の映画館で母親と二人で観た。
長嶋茂雄が巨人軍に入団した頃のことだ。
陰鬱な白黒画面のせいか、子どもには恐い映画で
裕次郎の弟分の小林旭が狙撃されるシーンでは
胸がドキドキしたことを思い出す。
と、ここまできて以下は次話です。
=つづく=
およそ30年ぶりの上野のお山と初めての飛鳥山だった。
上野は最悪。
あんな場所で花を愛でてはいけない。
そんなことは判っちゃいたけれど、
諸般の事情により、カタチだけの花見を決行したわけだ。
もう一つはJR王子駅前の飛鳥山。
花の様子は散りぢりに逆三分といった様相。
ようするに七分は落花しちまったということ。
とにかく都内の桜はすでに散り終えた。
♪ アカシヤの 花も散って
あの娘はどこか 俤(おもかげ)匂う
赤いハンカチよ
背広の胸に この俺の
こころに遺(のこ)るよ 切ない影が ♪
(作詞:萩原四朗)
桜も散れば、アカシヤだって散る。
曲は石原裕次郎の「赤いハンカチ」。
1962年10月のリリースである。
およそ1年後に映画化され、
東京オリンピックの年の正月に公開された。
あれから早や50年、嗚呼!
実はこの曲もこの映画も大好きなのだ。
6年前に上梓された自著、「文豪の味を食べる」では
小説家に限らず、噺家・作曲家・歌手・映画監督・俳優にも
枠を拡げて彼らの食跡をたどった。
裕次郎がたびたび訪れたのは地元・逗子の中国料理店「海狼」。
彼の稿を紹介してみたい。
=海を見ていた裕次郎=
小学校に上がる前の年のことだった。
当時住んでいた中板橋の路上に張り出された、
「嵐を呼ぶ男」のポスターで初めて石原裕次郎の顔を見た。
裕次郎も映画のタイトルも子ども心にカッコいいなぁと思った。
記憶が確かならば、初めて観た裕次郎映画は「錆びたナイフ」。
「嵐を呼ぶ男」のポスターからおよそ一年後、
小学校に入学した年に移り住んだ大森の映画館で母親と二人で観た。
長嶋茂雄が巨人軍に入団した頃のことだ。
陰鬱な白黒画面のせいか、子どもには恐い映画で
裕次郎の弟分の小林旭が狙撃されるシーンでは
胸がドキドキしたことを思い出す。
と、ここまできて以下は次話です。
=つづく=