2014年10月20日月曜日

第950話 よこはま・たそがれ 酒場のはしご (その1)

弘明寺をあとにして、やって来たのは京急・仲木戸駅。
JR京浜東北線・東神奈川駅に隣接している。

あれは去年の8月。
暑い盛りに横浜の魚河岸、中央卸売市場へ出張ってゆき、
場外の食堂、「浜膳」で昼めしを食べた。

そこから相方と仲木戸経由、東急東横線・白楽まで歩いたのだった。
今回はかつて来た同じ道を逆行している。
しかも相棒はあのときと同じP子だ。
それもまたヨシ。

滝の川の向こうに目当ての飲み処が見えてきた。
その名も「市民酒場みのかん」。
川添いに風情のある姿を見せている。
市民酒場の名にふさわしい  
訪れるのは初めて。
来たいと思い続けていたが、やっとのぞみがかなった次第だ。
しばし店先にたたずみ、感慨にふける。
というのは、少々大げさだがネ。

気持ちを整えておもむろに入店した。
おう、おう!  中の雰囲気もすばらしい。
向かって右側に長めのカウンターが一気通貫。
左手には小卓が四つほど並んでいた。
テーブルはみな二人掛けで、七対子ならぬ、四対子といった趣きだ。
んなこと言っても、麻雀卓を囲まぬ向きには意味不明であろうヨ。

時刻は15時前。
時間が早いせいか、客入りは3~4分といったところ。
そうこうするうち、ポツリぽつりと客足がのび、
店内はそこそこの活況を呈してきた。

店主と常連客が言葉を交わしている。
「こんな時間から混むのは珍しいネ、オヤジさん!」
「ホントだなァ、今日はどうしちゃったんだろう?」
まっ、われわれみたいなプラスα もオジャマしてることだし・・・。

エニウェイ、さっそくの瓶ビールだ。
この手の心ある大衆酒場のビールは常に大瓶。
中瓶のような中途半端なモンは金輪際出さない。

ただし、ここは東神奈川といえども横浜のはずれだ、
銘柄は当然キリンに定まろう。
周りを見渡すと、やはりみんなラガーを飲んでいる。
最近、とみにコイツの苦みが鼻についているJ.C.ながら
とにかく、ベター・ザン・ナッシング、お願いはしておいた。

=つづく=