2015年4月6日月曜日

第1070話 「れもん」という名のお好み焼き屋 (その1)

一昨日の土曜日は真冬がぶり返したかのような寒さだった。
その寒気のおかげで思い出した店がある。
かれこれ2ヶ月も以前のことだが
大塚・旧三業地のお好み焼き屋でカキのバタ焼きを食べた。
これがなかなかに美味しかった。

しかし4月の声を聞けば、もうカキとはおさらばサラバ。
秋風吹き始めるまでお預けの巻である。
当初はこの店をすぐに紹介しようと思っていたのだけれど、
あちらこちらと回り道をしているあいだに
すっかりその夜のことを忘れてしまった。
まったくもって歳はとりたくないものよのぉ。

当夜の相方はO戸サン。
世田谷区在住の読者で何回かメールの交換があったものの、
お会いするのは今回が初めてである。
訊けば焼き鳥やもつ焼きなどの肉系よりも
パスタやお好み焼きの粉系がお好きの由、
それでは”粉”の代表格、
お好み焼き屋にまいりましょうか? と相成った次第。

J.C.にとって専門分野ではないお好み焼き。
つらつらと思い浮かべ、案内する気になった候補店は2軒。
一つは西浅草の有名店「染太郎」の真ん前に
ひっそりと暖簾を掲げる「新月」。
ここは昔から気にはなっていたものの、未踏である。
二つ目が思案の末に訪れた今話の主役、「れもん」である。

お好み焼き「れもん」となれば、
当ブログの読者、それも若い女性なら第一感で
飯田橋の有名店「れもん屋」を思い浮かべる向きが多かろう。
と思いきや、ここはずいぶん前に「もみじ屋」と、その屋号を換えていた。

とまれ昔、飯田橋「れもん屋」を訪れたことがある。
JR飯田橋駅南口の改札を出ると、そこはお濠に架かる牛込橋。
出て右に進めば神楽坂下、左にゆけば靖国神社への道筋。
「れもん屋」は左に行って一つ目の角を左折、
すぐ左手の線路沿いにあったハズだ。

フード・ダイアリーをチェックしてみたら訪問は2003年9月だった。
とにかく過去を振り返っても
お好み焼き屋の敷居をまたぐのはきわめてまれなケース。
自分からすすんでは絶対にいかない食べものジャンルだから
出向くときは常にGFのリクエストに応えて重い腰を上げている。

飯田橋の「れもん屋」もご多分にもれず、相方の要請に押し切られた。
別段、旨くも何ともなかったが
銀行のOLだった彼女の見事なコテさばきに
意外な側面を垣間見る思いがしたものだった。

=つづく=