2015年4月29日水曜日

第1087話 レバをたっぷり食べたレバ (その5)

よりによって、はるか昔の遠きアフリカに翔んだと思ったら
朝令暮改を実践して「モスバーガー」に舞い戻ったりと、
ハナシがちっとも前に進みませんな。
まことにすまんこってス。

そうこうするうち、レバとホルモンが焼き上がった。
西日暮里は「喜多八」のカウンターに横並びだ。
1本120円のレバは焼きとん。
もうちょいレアめのほうが好きだが焼き過ぎでもないし、
さほどパサつかずに柔らかい焼き上がり。

1本180円と5割増しのホルモンは牛だろう。
ハラミかカシラのようだが硬くて奥歯に負担が掛かる。
いや、やっぱり豚のカシラじゃないかな?
それにしちゃ高いネ。
味付けは朝鮮焼肉屋のそれに近い。
ここは下町の伝統が光る、安いほうに軍配である。
サッカーの日韓戦もかくありたし。

二人ともに梅しそ味のバイスサワーに移行する。
ここ数年、台頭してきた大衆酒場のニューフェイスである。
確か、初めて遭遇したのは東京・町田市の老舗馬肉屋「柿島屋」。
第一感は幼少のみぎりによく噛んだ仁丹の梅ぼしガム。
そう、あの味に懐かしさを覚えたのだった。

串を2本づつでは恰好がつかない。
よかったほうのレバをもう2本と、
好みの一致をみた厚揚げ焼きを追加する。
隣りのオヤジさんがつまんでるのを見たらずいぶんデカい。

P子は生まれて初めて口にするバイスに感心することしきり。
「どうだい、初恋の味がするだろ?」
「ぜんぜんしないわ、カルピスじゃあるまいし・・・でも美味しいネ」

相方はバイスをお替わり、当方はビールに戻りながら
何かもう一品を物色するも、すかさず鶴の一声。
「ねェ、次は煮込みが食べたい!」―ときたもんだ。
あっそ! いいでしょう、いいでしょう、お願いしましょう。

しかも品書き札には特製煮込み鍋(380円)とあるじゃないの。
これは都内各地に散在する「加賀屋」グループの名代だ。
常日頃から「加賀屋」の煮込み鍋を愛好する身に異存はまったくない。

ところがコイツが期待を大きく裏切った。
「加賀屋」のレベルには遠く、遠く及ばない。
もつの質が劣るうえ、仕込み時の処理も稚拙で
シロもつに旨みなく、豆腐のみヤケにデカく、
よかったのは白味噌仕立てのつゆだけだった。

ついさっき、”特製”の二文字にツラれた、
いや、だまされたホルモン焼きで失敗したばかり。
まったくもって学習効果ゼロの自分に蹴りを入れたくなりました。

=つづく=