2015年6月18日木曜日

第1123話 昼下がりのジョージ (その2)

ビリー・ワイルダー監督、
オードリー・ヘップバーン&ゲイリー・クーパー主演、
「昼下がりの情事」を最初に観たのは中学二年のときだった。
記憶は定かでないけれど、今は無きテアトル池袋ではなかったか―。

半世紀を経て目の前にいるのは昼下がりのジョージだ。
JR巣鴨駅前の焼肉店は「金剛苑」。
狭い間口の階段が2階に続いており、
その入口にランチメニューが貼り出されている。

おお、コイツはありがたいぞなもし。
米国産だか豪州産だか判然としないが
カルビ定食もロース定食も税込みで680円という安さ。
小学生にはピッタリといえよう。

ジョージの手を引いて階段を上がる。
店内はわりかし空いていてコリアン・レディーの促すままに
掘りごたつスタイルの小上がりに収まった。

注文したのはカルビ定食とハラミ定食である。
カルビは680円だが、ハラミは1000円だ。
レディーが「ライスは大盛りにできますヨ」―
こう言うので、ジョージのぶんだけはと思ったものの、
こちらも大盛りにしてもらった。
せっかくのサービス、その恩恵を受けるに越したことはない。

5分と待たずに運ばれた定食は
ワンプレートにそれぞれの生肉、
白菜キムチ、豆もやし&青菜のナムルが盛られ、
わかめタップリのスープが付いた。
炊き立てとお見受けしたライスも粒が立って美味しそう。

こちらは焼肉をチョコチョコつまみながらビールを飲む。
いや、ジョージのヤツ、よく食べること、食べること。
肉だけでなく、飯のほうもモリモリやっつけている。
大盛りのどんぶり飯がまたたくまに消えてゆく。
こちらも大盛りにしておいてよかったヨ、
そのまま大盛りのお替わり状態だもの。

肉が足りなくなったので追加する。
カルビとロースを追加したが、それぞれたったの500円也。
食いなはれ、食いなはれ、これならフトコロはまったく傷まない。

満腹になって口が軽くなった少年のハナシにしばし耳を傾ける。
ジョージが懸念しているのはペアレンツの行く末である。
ふむ、やっぱりねェ。
どうなることやら他人がとやかく言っても始まらないが
それなりのアドバイスはしてやるつもり。

子どもを不幸にするのは常に両親の不仲、
これだけは洋の東西を問わぬ、永遠の課題であるぞヨ。

「金剛苑」
 東京都豊島区巣鴨2-1-1新川ビル2F
 03-3918-8929