2015年6月24日水曜日

第1127話 「のんき」は呑気に非ず (その1)

一昨夜のこと。
以前、直属だった二人の元部下と旧交を温めた。
同じ釜の飯を食いながら、苦楽をともにした仲間である。
かたや、数年前から介護関連の職について生きがいを感じている。
こなた、来月からふるさとの新潟県に戻り、
保険関係の仕事に従事する予定だ。
 
今現在、二人とも埼玉県在住につき、
彼らのゴー・ホームに都合のよい赤羽で落ち合った。
東口を出ると、すぐ目の前に見えるのがOK横丁の入口。
幅の狭い小路に飲み屋が並ぶ、呑ん兵衛には垂涎の一郭である。
 
かれこれ40年も通っている有楽町「八起」の本店がここにある。
あるけれども居心地のよい有楽町店のほうがずっと好きだ。
よって「八起」はパス。
十数メートル先には姉妹店の「だるまや」が控えている。
こちらの雰囲気は悪くないが、ここもパスした。
 
なぜか?
それはすでに目当ての店があったから。
赤羽で一番有名な、
いわばランドマークと言い切ってもよい「まるます家」である。
ところがあいにく定休日ときたもんだ。
そう、赤羽の人気店は月曜休みの店が多い。
いや、マイッたな。
 
仕方なく、うなぎと焼き鳥の「川栄」に向かう。
徒歩30秒足らずの至近である。
元部下たちをここにしようと促して入店しかかったものの、
ふと右隣りに目をやると、今まで認知していなかった、
「のんき」なる焼きとん屋に気づいた。
 
しかも暖簾には「のんき 堀切」とあるではないか。
堀切菖蒲園の「のんき」は気に入りの店である。
確か、当ブログでも紹介したハズだ。
ただ、店内の雰囲気が全く異なっている。
あくまでもレトロなたたずまいの本家とは似ても似つかない。
どことなくチェーン店みたいな安っぽさが浮き出ている。
 
注文を取りにきたアンちゃんにすかさず訊ねた。
「ここは堀切店の支店なのかい?」
アンちゃんが応えるには
「いえ、ここが本店なんですヨ」
じぇ、じぇ、そんなことあるわきゃないだろう。
 
たわごともいい加減にしなさい!
そう思いながらグッとこらえてなおも追及すると、
意外な事実が浮かび上がったではないか―。
こんなことがまかり通るんだねェ。
 
=つづく=