2017年11月28日火曜日

第1753話 谷中でちょい飲み3軒 (その2)

七面坂下のカフェ「nekojitaya」にいる。
キャンティのグラス片手にメニューをながめていた。
浅草ハム製のソーセージがある。
ランチ代わりにちょうどいいや、そう、うなずいて注文。

皿にはボイルされた細長いソーセージが3本。
3本とも同じモノである。
芸がないなァ、退屈だなァ、これじゃ飽きちゃうヨ。
浅草ハムのハムは好きだけど、ソーセージはイマイチだ。
この状況を救えるのはパンしかない。
よってバゲットをお願いした。

ハム・ソーセージ・ベーコンの類いは
パンのアル・ナシで格段に違う。
もちろんあったほうがいいに決まっている。
納豆や漬物に対する白飯と同じことだ。

例えばハムエッグならともかくも
ハムステーキを好む向きの気が知れない。
ハムはサンドイッチにするのが一番。
そしてJ.C.がもっとも好きなサンドイッチはハムサンドだ。
それも生ハム系ではなく、ごくフツーのロースハムがいい。

いえ、生ハムだってそれなりに好きですヨ。
ジャンボン・クリュ、プロシュート、ハモン・セラーノ、
ラックスシンケン、みんな好きだ。
好きだが、その国々のパンがなければ魅力は半減してしまう。

2千円弱の支払いを済ませ、谷中銀座に入った。
よみせ通りに向かってゆるやかな下り坂である。
かなりの人出、いや、ほとんどごった返し状態だ。
外国人、オバタリアン、ヤングカップルで芋を洗うが如し。
この狭い道に洋の東西、老若男女を問わず、
人波が押し寄せている。

メンチカツをウリにする2軒の肉屋。
うち1軒などメンチカツで商売が成り立つものだから
精肉業をやめちまったほどだ。
ほかにも激安惣菜店、和栗を使ったスイーツショップ、
イカのお好み焼き専門店、
そんな人気どころの前に行列ができるから
狭い道が余計に狭くなる。
いや、歩きにくいヨ、ジッサイ。

谷中銀座の中ほどに最近オープンした飲み処、
その名も「立呑 写楽」に差し掛かった。
ここの自慢は自家製の搾りレモンを使用するレモンサワー。
店頭にはレモンイエローの果汁を詰めた瓶が並び、
「アタシを飲み干してちょうだいネ」とばかり、
道行く人に訴えかけているのだった。

=つづく=

「nekojitaya」
 東京都荒川区西日暮里3-14-7
 03-5834-7357