2017年11月15日水曜日

第1744話 小雨降る日のはしご酒 (その3)

巣鴨は地蔵通りの「ときわ食堂本店」にて
かきフライを賞味している。
播磨灘の一年珠カキは極めて美味である。
1粒目は練り辛子で食べた。

この辛子が涙が出るほどにおっそろしく効いた。
自宅の冷蔵庫に常備してるチューブとはまったくの別物。
実はコールマンのイングリッシュ・マスタードもあるんだが
何せ、缶入りの粉末だからメンドくさくてくさくて・・・
いけませんなァ、怠け癖がついちゃ―。

もう一つはタルタルソースだが、こっちがベターだ。
わざわざ別注文するだけのことはある。
かきフライは何もつけずにレモンを搾るだけ。
あるいはサラリとウスターソースにマスタードが好きだが
ここへ来るとタルタルは看過できない。

ビールの2本目を。
何かもう一品、つまみがほしい。
壁の品書きを見上げる。
当店では初めて目にする、
めひかり竜田揚げ(580円)をお願いした。

すると、めひかりはすぐさま消去され、
いなだ刺身に取って代わられた。
運ばれた皿には大小おりまぜて9尾もある。
これにはハーフサイズがないから仕方がない。

こんもり盛られたキャベツに串切りレモンが添えられている。
熱々、カリカリ、しっとり、歯と舌が感じた三段階に頬がゆるむ。
めひかりは一夜干しが一番ながら竜田揚げも秀にして逸なり。
だけど9尾はいかんせん多いわな。
 
勘定を済ませて小雨降る道をゆく。
巣鴨駅には戻らず、
逆方向の都営荒川線・庚申塚駅まで歩いた。
チンチン電車の乗客となり、
目指すはさっきビールを飲みながら
心に決めたJR大塚駅前の「江戸一」。
久しぶりの訪れにちょいとばかりワクワクしていた。

開店10分前に到着すると、すでに数人の列ができていた。
この程度なら大丈夫だろうと天祖神社あたりをブラブラ。
そこで以前何回か酌交したW邊サンご夫婦とバッタリ。
彼は「江戸一」の常連の中の常連なのだ。
当然、目的地は同じ店。

何でも1年ほど前に京都へ移転されたそうで
10ヶ月ぶりの訪問だとおっしゃる。
こちらも1年以上のご無沙汰だ。
せっかくだから一緒に入店し、
カウンターに3人、横並びと相成った。

=つづく=

「巣鴨ときわ食堂 本店」
 東京都豊島区巣鴨3-14-20
 03-3917-7617