2019年1月15日火曜日

第2046話 スカイツリーの下なのに

台東区のコミュニティバスに・めぐりんに乗って
浅草は吾妻橋のたもとに到着。
隅田の川面を眺めながら橋を渡り、業平の町にやって来た。
スカイツリーの足下にありながら
浅草通りをはさんだ反対側は
群衆のさんざめきすら聞こえず、静かなものである。
小ぢんまりとした天祖神社も
三が日を過ぎたせいか参詣の人影すらない。

佇まいにのどけさ漂う「とんかつみかさ」の扉を開けた。
マダムにカウンターへ通されて一息つく。
先客は単身の男性が2人。
他人のことを言えた義理ではないが
ともに昼間からビールの大瓶を飲んでいる。
まだ松の内だから、さもありなん。

この日の目当ては日替わりランチだった。
何でもメンチやアジフライやハムなんぞが
盛合わさってるそうで、それをつまみに飲む腹積もりでいた。
ライスは返上してネ。
ところが本日の日替わりは鳥唐揚げときたもんだ。
これじゃ、ダメじゃん。
いきなりの肩透かしに少々身体が泳いだ。
揚げもの以外につまみ類が何品か揃うものの、
どれもみな月並な印象である。

ロースカツは()()があり、
それなら()をお願いしようか?
と思ったときに自家製シューマイに目がとまった。
単品で500円なら大したボリュームはなかろうヨ。
余裕で大瓶とともに通す。
とんかつ屋でシューマイだけじゃ恰好がつかない。
ロースの()も注文に及んだ。
これだって750円、コンパクトなのが来るのだろうヨ。

墨田はアサヒビールのホームタウン。
安心の銘柄にノドがリラックスしている。
しかし、そんな平和も長続きはしなかった。
シューマイは何と、中ぶりが7個付け。
いや、これだけならどうにかいけるが、カツも来るんだぜ。

そのまんま、練り辛子、生醤油、とんかつソースなどを
駆使して5個ほどやっつけたとき、ロースカツが揚がった。
ガッビ~ン!
こいつはデカいヨ、分厚いヨ。

こみ上げる不安に苛まれながら果敢に挑む。
うむ、肉質はよいけれど、熱が入り過ぎている。
やたらにはがれるコロモも困る。
山盛りのキャベツは3分の1ほど残した。
スパゲッティ入りポテサラは何だか水っぽい。
だが、シューマイもロースカツもそれなりに美味しい。
よく気の利くマダム、腰の低いシェフにも好感が持てました。

「とんかつ みかさ」
 東京都墨田区業平2-14-10
 03-3623-2548