2020年4月6日月曜日

第2365話 二羽を追うものは一羽をも得ず (その2)

下谷神社そばの焼き鳥店で
特選焼き鳥丼を前にしている。
違和感を覚えたのはどんぶりを覆う具材だった。
鳥もも肉の隣りで
かなりの部分を占める炒り玉子は何なんだ。
いや、玉子には目をつぶろう。
問題はハナから添えられてきた紅しょうがである。

コイツは好き嫌いの激しい嗜好品のハズ。
「吉野家」みたいに卓上にドーンと置く必要はないが
せめて別皿にしてほしい。
第一、真っ当な焼き鳥店が紅しょうがを使うかネ。
センスの欠落があからさまだ。

七味と粉山椒を駆使しながら、
とにかくいただくと、鳥の旨みはイマイチ。
三つ葉がちょっぴり浮かんだスープはそれなりで
自家製らしき新香もまずまず。
サラダはまあ、こんなものだろう。
アテが外れた食後感が残り、
煮込みにしとけばよかったかなァ・・・

翌週、焼とり丼の仇を鳥煮込みで討たんとばかり再訪。
二羽を撃てば一羽にゃ当たるだろうという、
安直な期待を目論んで出撃に及んだ。
この日は前週よりも客足が伸びていた。
オッサン二人組に単身のOLと、これも独り身の外人男性。
その中に紛れ込み、L字の縦辺に陣を取った。

注文を通して待つあいだ、
あらためて夜のメニューを手に取ると、
焼き鳥に稀少部位が無く、いかにも凡庸な品揃え。
つまみ類は赤字で記されたものがオススメらしく、
我が家の御新香(380円)、とろとろ鳥煮込み(480円)、
鳥レバーパテ ガーリックトースト添え(480円など。
オモニの手作りチャンジャ(380円)は黒字につき、
どこぞで買ってきたものと思われる。

小鍋で温めるだけの煮込みはすぐに整った。
身肉の切れはしが散見されるものの、ほとんどが皮。
とろとろ鳥煮込みを謳っているので皮主体は想定内だ。
あとは絹ごし豆腐にきざみねぎ。
新香とサラダは前回同様で、スープはつかない。
代わりにきんぴらごぼうと梅ちりめんが添えられる。
どちらも無いよりはマシといった程度で
相変わらずセンスはよくない。

結局、今回もダメだった。
二羽を追ってはみたものの、一羽をも得ずである。
おっと、肝心の店名を書き忘れるところだった。
いや、白状すれば、意図的に伏せておいたんですがネ。
実はこちらのお店、「炭火焼とり 二羽」と申します。

「炭火焼とり 二羽」
 東京都台東区東上野2-2-8
 03-5828-3728