2020年5月27日水曜日

第2402話 ビールにピタリのポークソテー

杉並区・高円寺と中野区・野方のちょうど
中間辺りにある「民生食堂 天平」。
ご無沙汰しているが9年前の秋、
立て続けに3回もおジャマした。
当時からかなり年配のご夫婦の切盛りだったが
そろそろ閉業するとの噂を耳にした。

懐かしさに突き動かされて電話を入れる。
相変わらず通し営業を続けているとおっしゃる。
「ああそう、前に来てくれたお客さんなんですネ。
 ええ、やってますから来られたら言ってネ」
「ハイ、電話した者ですと申告しますヨ」

気象庁が朝から雨が降ったり止んだりと予報した日。
朝から雨は降ったり降ったりで、かなりの雨足。
雨の予報は当たったが降り方は大ハズレじゃないか―。

JR高円寺駅から10分弱で到着。
「この雨だから今日は見えないと思ってた」
「いえ、約束は守る世代なんです」
見覚えのある店主の笑顔に迎えられ、
スーパードライの大瓶(700円)を。
当店はアサヒとキリンの二択、エラいよなァ。
つまみは”来れば頼む”のポークソテー〈600円)だ。

調理を終え、腰を下ろした店主との会話が始まる。
当方、飲みながら食べながらで
話した、話した、たっぷり1時間あまり。
9年前もプロ野球の話題で盛り上がったんだ。

元気だった女将さんは3年前に亡くなられた由。
今は一人ですべてこなしながらの通し営業。
本年79歳になられる二代目である。
先代(明治39年・徳島県出身)が開業したのは昭和26年。
奇しくもJ.C.と同い年になる。
いや、先代じゃないヨ、店とだヨ。

中野区の指定を受けて外食券の取り扱いを始める。
当時の民生食堂で現存するのはほかに
「野方食堂」のみと聞き、10日ほど前に訪れた旨伝えると
あちらの二代目(先代)とは同年輩で交流があったそうだ。

箸でつまんだポークソテーの味はまったく変わらない。
69年間、ずっと同じものを提供しているという。
厚さ1センチ強の豚肉はほどよく脂身が付いて上質。
冷めかけても柔らかさを失わず、滋味もじゅうぶん。
ポークにかぶさる玉ねぎ&ニンニクの味付けは
ウスターソース&ケチャップ、醤油も少々かな?
ビールにピタリ寄り添ってくれた。

「天平」はサカナ系も充実している。
手軽なつまみも揃っており、
厚揚げ煮、焼きちくわ、きんぴら、目玉焼きはオール300円。
食事のカレーライス、チキンライス、やきめしが700円なのに
とんかつ(並)は400円、(上)でも600円という安さ。
察するに単品を注文する客は必ず酒を飲むからだろう。
そのぶん、大瓶の700円は食堂としてやや高めの設定だ。

ビールを2本いただいて勘定は2千円ちょうど。
楽しい時間を送ることができた。
短くとも年末までの営業は大丈夫だろう。
落ち着いたら仲間との再訪を約しておいとました。
外の雨は止む気配すらない。

「民生食堂 天平」
 東京都中野区大和町3-10-14
 03-3337-2488