2020年5月25日月曜日

第2400話 またカニを食ったんだガニ (その3)

二子玉川の「愛菜厨房 リヴィエール」。
料理が整うまでの間、バック・バーを眺めていた。
神の河と白鯨、ボトルキープの焼酎が並んでいる。
”馬刺 ¥1360”の黒板が気になる。

おや? 瓶ビールを収納する冷蔵庫を見やると、
一番搾りの隣りに
同じキリンのハートランドが並んでるじゃないか―。
何だよぉ、ちゃんとメニューに書いといてくれよぉ。
もっとも確認しないこっちが悪い。

すると、腹立たしいことに端っこの常連オヤジ、
一番からハートに切り替えやがんのっ。
それはないぜ、セニョール!
飲む順番が違うんじゃ、あ、ないかい?
まっ、オヤジに罪はないけどネ。

そんなこんなで傷心のJ.C.のもとに
ティーカップ入りのスープがサーヴされた。
熱々をすすれば、チキン&野菜のコンソメは真っ当だった。
追いかけてきたメインはペアのカニコロにトマト系ソース。
サラダはレタス&キャベツにトマト一切れと淋しい。

ナイフは使わずにフォークで崩して口元へ運ぶ。
ユルトロではなく、しっかりしたタイプだ。
でも、これは単なるクリームコロッケに過ぎない。

こういった料理には通常、
ズワイやベニズワイの比較的安価なほぐし身缶が使われるが
香りも味もあったものではなく、
いったいカニは何処へ消えたカニ?
ヘイ、クラブ!ホエア・アー・ユー?


夢破れて山河あり。
カニコロ破れてカニがなし。
あの悪夢がよみがえりました。


オモテに出て店を振り返ると
袖看板に大きなハイネケンのロゴ。
しかも店名よりロゴのほうがずっと大きい。
こんなのありかい?
菜っ葉や妻を愛するのはいいことだけど、
汝、ダッチを侮ることなかれ。

しばらくぶりの二子玉なので丹念に徘徊した。
高島屋裏手のオサレなエリアは玉川3丁目。
さらに奥へ進むと昭和の匂いを残す二子玉川商店街で
この辺りは4丁目になる。


昔訪れた「とんかつ 大倉」は閉業して久しい。
その跡地だろうか、定食屋の前に行列ができていた。
このまま商店街を突っ切り、
瀬田の交差点を経て用賀に向かうつもりだったが
前日とは打って変わって肌寒く、小雨もパラつきそうだ。


長距離散歩は厭わぬものの、雨及び、重馬場は苦手。
きびすを返して駅に戻る、
根性なしの背中を風が嗤って吹き過ぎましたとサ。

=つづく=

「愛菜厨房 リヴィエール」
 東京都世田谷区玉川3-12-5
 03-3709-7445