2020年5月20日水曜日

第2397話 神社の前でフレンチを

稲荷町のそば屋でボコボコにされた、その数日後、
この町に舞い戻ったJ.C.がいた。
そう、下谷神社の真ん前の「ア・ラ・キエチュード」。
よく耳にするエチュードは
音楽なら練習曲、美術だと下絵のことだが
キエチュードは”心の安らぎ”である。
当店は目下、昼のみ営業でランチの選択肢は二つ。 
その日の献立を紹介すると、

=Menu A=(¥1.500)
 桜海老のマリネと熊本野菜のサラダ
 豚肩ロースのミラノ風カツレツ w/バターライス
 プチデザート&コーヒーor 紅茶

=Menu B=(¥3.000)
 ピサラディエール(南仏風ピザ)
 桜海老のマリネと熊本野菜のサラダ
 真鯛のソテー 空豆のスープ仕立て
 特製牛ほほ肉の赤ワイン煮込み w/パン
 焼き立てのチョコレートタルト&コーヒーor 紅茶

13時前に入店し、カウンターに着いてAをお願いした。
厨房にはシェフが独り、フロアの配膳も彼がこなす。
先客はカウンターに女性、テーブルに男性、どちらも単身。
後客はなかった。

生の桜海老がパラリと散るサラダは
この小さな海老の特性を活かしきれていないが
熊本産の野菜は多種多彩。
ビーツの深紅をより赤黒くしたような根菜はゴボウと思われたが
訊けば、黒ニンジンとのこと、初めて口にした。

なぜにフレンチでミラネーゼ?
このカツレツはパン粉をはたいた豚肉を
揚げるのではなく焼き揚げる感じ。
本場では仔牛肉が一般的ながら東京ではまず手に入らない。
殊に乳呑み仔牛はほとんど絶望的だ。
豚肉硬く、コロモはがれやすく、ちと残念な仕上がりとなった。

デセールのヴァニラ・アイスクリームはまずまず。
煎りが浅めのコーヒーが思いのほかよかった。
先日、満席だったときの大半は女性客で
若いリーマンにこのボリュームは不満だろう。
オッサンにはちょうどいいけどネ。

それにしても下谷神社の二の鳥居の真下というロケーション。
しかも角地の1階とあって飲食業には絶好なれど、
よりによって仏料理店とは意表を衝かれる。
界隈のOLさんにはおおむね好評の様子だから
コロナのほとぼりが冷めたら再訪してみたい。
ラーメンに稲荷の浮かぶ「秋月庵」とハシゴしようかな?
あそこでは、まだ日本そばを食べてないし・・・。

「ア・ラ・キエチュード」
 東京都台東区東上野3-35-1
 03-5826-8995