本八幡から市川へやって来た。
飲み屋の少ない街で「朝日屋」は貴重な存在だ。
サッポロ黒ラベルの中ジョッキを持つ手が
震えたような気がしたのは気のせいだろうか―。
それともアル中の兆校の表れか―。
炎天下を延々と歩いたせいで冷たいビールは格の別。
あと数杯はイケるところを
敢えて2杯目は酎ハイにしてみた。
生すだちハイである。
これも芳香、ノド越しともにスッキリさわやかだ。
先刻のイタリアン・ランチを消化しきれておらず、
つまみは欲しくないが、そういうワケにもいかない。
当店は生モノもさることながら 焼きとんの質が高い。
壁に” 食肉市場直送”と貼り出すくらいだから自信も満々。
かしらを塩と辛子、ればをダレで1本づついただいた。
思い起こせば2年半前、 大相撲初場所の14日目。
栃ノ心が初優勝を決めた一番を当店のTVで観たのだった。
今、そのTVが映し出すのは「次郎長三国志」。
22年前の作品の再放送だ。
清水次郎長は北大路欣也、森の石松が片岡鶴太郎。
次郎長の恋女房・お蝶役の池上季実子が死の床に就いている。
滞空時間は30分、
「朝日屋」をあとにして 江東区・亀戸に向かう。
今宵はJR総武線沿線のはしご酒。
さすがに市川から亀戸は距離があり過ぎる 。
時間的余裕はあるものの、疲れたので電車に乗った。
正しい判断ではありますな。
うなぎの串焼きをウリとする、
ニューフェイスが 北口に開業したと聞いていた。
「う成ル」とはまた奇妙な屋号である。
ルの字がルになって小ちゃいのだ。
飲んでるうちにどういう了見か、 質すのを忘れちまったが
まっ、こういうものは名付ける店主の勝手だからネ。
それはともかくフロア担当のアンちゃんに
1階がいっぱいなので2階へと促される。
ほかに心当たりがないわけじゃなし、
そこで小一時間潰して再訪する気になった。
「1階のカウンターがいいから
ヨソで1~2杯飲んでまた来るネ」
「ハイ、すみません、お待ちしてま~す!」
ところがギッチョン、世の中ウマくいきませんな。
ちょいとした晩酌難民に陥ったのでありました。
=つづく=
「朝日屋」
千葉県市川市市川1-2-1
047-326-5931
飲み屋の少ない街で「