2022年11月22日火曜日

第3151話 外国人 谷中銀座に あふれけり (その2)

イタリアンを空振って町中華。
5分で肉野菜炒めが運ばれた。
清湯のほかに切り干し大根となぜか梅干が1粒。
振り返れば定食仕立ては初めての注文である。

それにしてもすごいボリュームだ。
豚肉もさることながら
キャベツ・もやし・にんじん・ニラ・キクラゲ。
3日分の野菜を1度に摂取した思いである。
もう1本ビールが欲しくなったけどガマン。

ラブホ街に足を踏み入れた。
ほどなく立ちん棒の姐さんに声を掛けられたが
ちょっと何言ってんのか判らない。
丁重にお断りしてラブホ街を突き抜けた。

JRの線路沿いに根岸から下谷。
清洲橋通りを北上野から東上野。
下谷神社の大鳥居をくぐった。
すると小鳥居の前に居たのがチンドン屋軍団。
男女2人づつの4人組である。

男はサックスと大太鼓。
女は1人が鉦&小太鼓セット担当。
もう1人はビラ配りである。
休憩中で演奏はしていない。

近づくとビラ配りの姐さんがくれたのは
御徒町の安売りストア「多慶屋」内にオープンした、
スーパー「サミット」のチラシだった。
どの辺を回るのか訊ねると
もうしばらくして、この辺りとのこと。

ビタマークするわけにもいかず、散歩の続き。
以前、何度か利用した、
下谷神社裏の鮮魚店と洋食屋の界隈を流し、
西町公園で一休み。

ずると風に乗って流れるのは懐かしのメロディー。
彼らが通りの向こうからやって来る。
曲は「侍ニッポン」だ。

♪   人を斬るのが 侍ならば
  恋の未練が なぜ斬れぬ
  のびた月代(さかやき)
  寂しく撫でて
  新納鶴千代 にが笑い ♪
   (作詞*西条八十)

チンドン屋だから歌は歌わない。
でもJ.C.の頭ン中は歌詞がグールグル。
「侍にっぽん」は同名映画(1931年)の主題歌。
徳山漣(たまき)が歌った。

曲が古過ぎて路上の聴衆のウケがあまりよくない。
次曲は坂本九チャンの「上を向いて歩こう」。
これならみんな知っている。
演奏後あちこちからパチパチパチ。
このまま金魚のウンコみたいについてくのもなァ。
後ろ髪を引かれながら
踵(きびす)を返したことでした。

「大弘軒」
 東京都台東区根岸1-7-11
 03-3875-6493