誰もいない「玉子家」を自由に歩き回る。
「木根川の歴史」だったかな?
書棚から当地を紹介する書物を抜き取った。
席に戻り、ビールをお替わりし、
パラパラやっていたら図らずも引き込まれた。
1954年の写真はかつて浅草にあった、
美人座の前で靴磨きするオジさん。
彼の背後の美人座ポスターには
満嬢一致 快戯は踊る
ヌードショウ 毛穴までどうぞ
とあってハハハ、笑わせるなァ、
毛穴見てどうすんだよぉ。
乳房も露わな美人が映っていたが
エロスというより、むしろ漫画チックだ。
それとは別に若い頃の高峰秀子や
清川虹子のスナップがとても懐かしい。
ほぼ食べ終えた頃、
閉じていた座敷の襖(ふすま)が
スス~ッと開いて中から美女、もとい、
老女将が顔を出し、ここで会話が始まった。
ときどき都内で見かける、
ひよこの絵柄入りバンをてっきり、
この店のものだと思って
何を運んでいるのか訊ねたらまったく見当違い。
同じ「たまごや」でもこちらは「玉子家」、
あちらは「玉子屋」、関係はなかった。
先方は大田区を中心に
弁当の宅配をなりわいとしているそうだ。
いずれにしろ、ご馳走さまでした。
ちなみに来客は最後までありませんでした。
せっかく四ツ木に来たので隣りの立石へ歩く。
駅の北側はいよいよ大型再開発が始まっていた。
何が出来るものやら、とてつもなく広い地域が
駅自体をも巻き込んで大工事の真っ最中。
以前のレトロ感なんか吹き飛んじまった。
一方の南側は相変わらず。
この町随一の人気を誇る、
焼きとん「宇ち多゛」は前代未聞の大行列。
ザッと50人が並んでいた。
こりゃ、ハケるまで2時間はかかるネ。
近所に酒が飲める甘味処「舟和」と
「えびす屋食堂」があるけれど、
丼めしのあとではキツい。
京成押上線を青砥で京成本線に乗り換え、
黄昏れの上野に戻ったのでした。
「たきおか」か「味の笛」で
瓶か生のドライでしょうな。
「玉子家」
東京都葛飾区東四つ木3-23-25
03-3691-0016